確かに、その瞳は燃えていた夏休みを終え数日経った九月の頭。
登校するとボクの机の中身は、空っぽになっとった。
昨日置いて帰ったファイルやら教科書など諸々、消えた行方に見当はない。
教室中を見渡してみる。隣の席の女子が気まずそうに視線を逸らし携帯を弄り始めた。
「うわ、気付いた」
背後からけたたましい嗤い声と共に、何とも馬鹿馬鹿しい小声が聞こえる。
振り返るとボクの席からだいぶ離れた教室の角にたむろっている髪の明るい集団がこちらを見て堪え切れんとばかりに口元に手をやった。
5月にあった体育祭辺りから現れた、やたらと小馬鹿にしてくる低俗な輩。
ロードレースやっとるからって安直な理由で人の意見も聞かず勝手に対抗リレーの選手に選んだ挙句、期待通りの結果が出せんかったら罵声を浴びせてくる理不尽なマヌケ。
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