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    akira9924

    せっせと原稿している人

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    akira9924

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    ぼんゆい開催おめでとうございます🎉
    付き合っていない時空の仁唯が買い出しにいくお話です。

    その笑顔が欲しい「これで必要なものは全部かな」
    「ですね。付き合ってくださってありがとうございました!」
    「いえいえ、コンミスの頼みならいくらでも」

    そう言って仁科さんは軽くウィンクを飛ばした。
    休日の昼下がりということもあり、いつもよりも人通りが多い。
    今日は買い出しだからヴァイオリンを置いてきたけれど、演奏したら楽しそうだなぁと思わず周囲を見回した。

    「あ」

    その時、私の目にあるものが飛び込んできた。

    「すいません、仁科さん。ちょっと寄ってもいいですか?」
    「うん、もちろん」

    仁科さんに断りを入れた後、私は引き寄せられるようにあるものの傍に近づいた。
    雑貨屋さんの一画にあるアクセサリーコーナー。
    そこに飾られていたのはヴァイオリンの形をしたピアスだった。
    指で軽くつつくと、小ぶりなヴァイオリンがぷらぷらと揺れ、ますます魅力的に見えた。

    「よく見つけたね、コンミス」
    「ちょうどヴァイオリンのこと考えてたからかもしれません。
    可愛いなぁ……でも、ピアスか……」

    残念ながら私の耳にはピアスの穴は開いていない。
    興味深そうにヴァイオリンのピアスを見つめる仁科さんをちらりと見つめる。

    「仁科さんはピアス開けてますもんね」
    「うん、開いてるよ」
    「開ける時、痛かったですか?」
    「うーん、そうだね……俺の場合はピアッサーで開けたんだけど、ピアッサーって結構音が大きくて。
    痛みよりもバチンっ! て耳の傍で音が鳴るのにちょっと驚いたなぁ」
    「……なるほど」

    耳元で鳴る大きな音。
    それは少し怖いかもしれない。
    でも、そこまで痛くないのなら……思い切って開けちゃってもいいかもしれない。
    それくらい目の前のピアスは魅力的に見えた。

    「朝日奈さん、もしかして開けたいの?」
    「今めちゃくちゃ傾いてます」
    「なるほど。確かにこのピアスはとても魅力的だ」

    仁科さんはピアスを手に取ると、流れるような動作で私の髪を耳にかけ、耳元にピアスを当てた。

    「うん、君に良く似合う」
    「――っ! あ、ありがとうございます」

    仁科さんが私に向けた笑顔は、今日思い切ってこのピアスと一緒にピアッサーを買ってしまおうかなと覚悟を決めるには十分すぎるほど魅力的だった。


    「でも、君の綺麗な耳はまだこのままでもいいんじゃないかな?」
    「え?」
    「これ、ピアスからイヤリングに変更してもらうことも出来るみたい。ほら」

    ピアスコーナーの傍に『ピアスからイヤリングへ変更可能です』という張り紙があった。
    目当てのピアスに夢中で全く気付いていなかった。

    「コンミスの好きなものにのめりこむ姿、俺は好きだよ」
    「声に出てました?」
    「コンミスの考えていることはなんでも知りたいって思ってるからかな」

    仁科さんはまたウィンクを一つすると、手に持っていたピアスを売り場に戻さず、レジへと歩き出す。
    その背中を慌てて追いかけた。

    「え、仁科さん!?」
    「今日の記念。俺からプレゼントさせてほしいな」
    「今日の記念って……買い出ししかしてないのに?」
    「コンミスは人気者だから。コンミスを少しの時間でも独占出来た記念ってことで」

    仁科さんはスマートに会計を済ませると、可愛くラッピングされたヴァイオリンのイヤリングを私に差し出した。

    「はい、どうぞ」
    「ありがとうございます。大切にします」
    「うん」

    仁科さんは満足そうに微笑む。

    「あの、仁科さん」
    「ん?」

    仁科さんはスタオケの活動だけじゃなく、ネオンフィッシュとしての活動もある。私の何倍も多忙な人だ。
    忙しい合間をぬって、今日も買い出しに付き合ってくれているだけ。
    分かっている。
    これがただの買い出しで、それ以上の意味なんてないことも。
    だけど……私はこの人を独占してみたい。

    「今度、これをつけて私とデートしてください!」

    私の言葉に、仁科さんは虚を突かれたように目を丸くした。

    「そんな目で見つめられると照れちゃうな。
    ……うん。俺も君とデートしたいな」

    照れたように微笑む仁科さん。
    その笑顔に思わずガッツポーズをしたくなった。

    デートコースは思い切り仁科さんを照れさせるようなものにしたいな、と気の早い私は意気込むのだった。

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