かぞくのとびら(The way to say I'm home.)8.
教師と生徒でもなければ、歳の差もそれほど無い。僕は最強じゃないけれど、悠仁だって宿儺がいない。
僕も悠仁も、10月31日だって普通に仕事してた。ウケるでしょ。お互いそれなりに忙しいし、何より子供達がいるから、二人きりになるのは難しいけれど、悠仁が自転車に乗れない雨の日は子供達をつれて車で迎えに行く。スーパーに寄り、家で一緒にごはんを食べて、キッチンでこっそり指を絡めて、キス。食後にゲームをしながらコーヒーを飲んで、子供たちが眠くなる前に車で悠仁の家へ送る。
それだけの、そこまでの、繰り返し。だけど、確かに穏やかな日々だった。
出来過ぎじゃない?と思うくらいに。
◇
暗くなる時間が早くなり、ついこの前まで冷風を出していたエアコンは暖房になった。気がつけば11月も半ば。外の空気は匂いが変わり、冬がすぐそこまできていた。
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