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    tyoko54_OPhzbn

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    tyoko54_OPhzbn

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    🐯、🐧、🐬
    🌸▶︎ソナーマン。
    「優しい暗がりの続き」

    キャプテン「🌸〜起きておくれよ〜」
    翌朝。ベポに揺り動かされ、目を覚ます。
    「ん……おはよう、ベポ」
    「おはよー! 🌸、よく眠れたかい?」
    「うん。ぐっすり眠っちゃったみたい」
    昨日の出来事を思い出しながら、伸びをする。
    「あ、キャプテンもいるぜ!」
    慌てて立ち上がると、目の前にローがいた。
    「わっ、」
    驚きすぎて変な声が出た。
    「おれの部屋で騒ぐな」
    「ごめんなさい……」
    しゅんとする🌸を見て、ローは「ふぅ……」と短く息を吐き出すと、「朝食に行くぞ」と言い歩き出した。
    「え? あの、キャプテン……」
    「なんだ?」
    「一緒に行くんですか?」
    「ああ」
    当たり前だろう?と言わんばかりの顔でこちらを見る。
    「……はい」
    ペンギンとシャチとは食堂で出会った。2人とも🌸の顔を見ると、心配そうな顔をしたが、2人ともすぐに明るく迎え入れてくれた。

    「🌸って何者なんだ?」
    食事中、🌸の隣に座っていたペンギンが言った。
    「何者もなにも……人間だと思うけど」
    「いや、そういうことじゃなくてだな……」
    困ったような表情をされ、ますます困惑してしまう
    「わたしなにか、した?」
    「いや、むしろ感謝してるよ。🌸の種族のこと教えてくれてありがとうな」
    そう言い頭を下げるペンギンに、「えぇーー!?」と🌸は驚く。
    「そんな、わたし、むしろ迷惑かけてるんじゃ……」
    「🌸が何を苦手としているのかわかったってよかった、だろ?」
    「……」
    「それに、🌸のおかげでおれ達助かってるぜ。その聴覚。すごいよな」
    ペンギンは、ニッコリ笑うとご飯を食べ始めた。
    (うわー……優しい人達だな)
    胸の奥がじんわり温かくなってゆく気がした。

    「おい、🌸。おまえの種族の特性を教えろ」
    朝食後、船長室に呼ばれた🌸は、いきなり質問された。
    「特性ですか……」
    「ああ、クルー全員に伝達しろ」
    「わかりました」
    ローの姿を見ながら考える。
    (特性って言ってもなぁ……。なにがあるんだろう?)
    「えっと、わたしは明かりが苦手です」
    「ああ。それによる不調はなんだ?睡眠不足のほかにあるか?」
    「……赤灯の中にいるとたまに目眩が……でもこれは慣れると思います」
    「他には」
    「……あとは……特に思いつかないですね」
    「そうか」
    「はい」
    ローはパラパラと手元の紙束を捲る。
    「次の浮上は明日だ。おまえも夜になったら街に出ろ」
    「へっ……なんでですか?」
    「おまえに必要なものを買う。昼に他のクルーが食料の買い出しに行く」
    (は?)
    「えっと、あの、ちょっと待ってください! キャプテン!」
    「なんだ」
    「キャプテンが、ついてくるんですか!?」
    「あたりまえだ。何か問題でもあるか?」
    「ない、ですけど。普通、キャプテンは船にいたほうがいいのでは……」
    「おまえの能力を把握しておく必要がある。おれは医者だ。怪我をした時、病気の時はどうする? 誰が治療をする?」
    「……はい」
    🌸は反論できなかった。
    「明日の夜6時にここに来い。浮上の事は他のクルーに伝達しておけ。遅れるなよ」
    「は、はい!!」
    こうして、🌸は初めての買い物へと出ることになった。

    ***

    「キャプテン、本当に行くんすか?」
    「2人っきりってデートみたいすね〜」
    夕食後のミーティングを終え、各自解散となった頃。シャチとペンギンは、ローに声をかけた。
    「心配ならお前らも一緒に来るか?」
    「「行きます!!!」」
    元気よく返事をする2人を見て、ローは小さく笑った。
    「じゃあ、準備をしてこい。20分後に出発する」
    「アイアイ!」
    2人は嬉しそうに食堂から出て行った。

    「ポーラータング、浮上します」
    🌸は緊張した声で、そう告げる。
    自分がハートの海賊団に入ってから、はじめての浮上だった。
    ソナーマンとしても、個人としても酷く緊張する。
    (こんなんで大丈夫かな……)
    「心配そうな顔だな」
    隣に立つローに、見透かされてしまったようだ。
    「いえ、そんなことは……」
    「あまり気負いすぎるな、おまえより技術があるクルーがカバーする」
    「はい……」
    ふぅーと息を吐き出すと、🌸は意識を切り換える。
    (今は目の前のことに集中しよう)
    「ポーラータング、停止しました」
    「よし、降りるぞ」
    潜水艇から降りたローは、🌸、ペンギンとシャチを連れて街へと向かう。
    「あの、キャプテン……」
    「なんだ?」
    「必要なものってなんですか?」
    ローはシャチを指差す。
    はーい、というように手を振るシャチをみて、🌸の頭は疑問でいっぱいになる。
    「サングラスだ」
    「はい?」
    思わず聞き返してしまった。
    「だから、サングラスだ。おまえには必要だろう」
    なるほど。サングラスをかけていれば、赤灯も少し和らぐということだろうか。
    「🌸、おれとお揃いにするか?」
    にーっと笑いながら肩を組んでくるシャチのサングラスを見る。シンプルなデザインだしシャチにはとても似合っていたが、自分にはどうだろう。
    「ううん、普通のでいいよ」
    「そっか、残念〜〜」
    ペンギンは、🌸とシャチの様子を黙って見ていたが、混ざりたくなったのか、🌸を中心に空いている方の肩を組んだ。
    「深いキャップも必要だろ!寝る時にさ」
    ペンギンはいつも目深に帽子をかぶっている。なるほど、その手もあるわけだ。
    「うーん、確かに、わたしの髪色、目立つもんね」
    🌸の髪の毛は、肌同様に白い。
    「そうだな〜、綺麗だけどな!」
    「それか、染めるしかないんじゃないか?」
    「おい、ペンギン、シャチ。🌸が歩き辛いだろ。離れてやれ」
    振り向かずに、そう命令するローに、2人はアイアイと🌸から離れた。
    (わたしも、もう少し身長があればよかったのに……)
    この3人の中だと、自分は1番小さい。背の高い2人に挟まられると、まるで自分が子供になったような気分だ。
    その気分は連れてこられた雑貨屋でも感じることになった。
    他の種族と交流の少ない自身の国ではこんな、"なんでもある"雑貨屋は見たことなかった。
    目を輝かせている🌸をみて、ローは「子供だな」と小馬鹿にしたように笑う。
    何か言い返そうとしたが、シャチとペンギンが早速、サングラスや色付きの伊達メガネの棚から
    「キャプテン、これどうですか?」
    「キャプテン、こっちもいいんじゃないっすか?」
    と、あれでもない、これでもないと商品を手に取っては、ローに見せている。
    「キャプテン、これは?」
    「キャプテン、これどうですか?」
    当の本人は置いてけぼりだ。
    「おい、つけるのは🌸だ。おまえらが選んでどうする」
    「いいじゃないっすか! 選ぶ楽しみぐらい楽しませてくださいよ!」
    「そーだ、そーだ」
    とブーイングが飛ぶのを見て、🌸は思わず吹き出す。
    「なんだか、3人は兄弟みたいですね」
    「……」
    ローに、ほーー? という顔で見下ろされるが、🌸はツンと横を向いた。
    「こ、子供っぽいって馬鹿にしたからです」
    そう言うとローはフッと笑った。
    「あぁ、悪い。ついな」
    そう言って、ポンポンと頭を撫でてくるものだから、余計に子供扱いされたようで恥ずかしくなる。
    「🌸、これはどうだ」
    シャチとペンギンのチョイスを無視して、ローが差し出したの緑のグラスの入った、サングラスだった。
    「緑は赤色の光を抑える。これなら少しは夜の時間帯が楽だろう」
    医者らしい理に適った選択だった。
    試しにかけて店の小さな鏡に顔を写す。
    「キャプテン、変じゃないですか」
    「🌸、似合ってる!」
    「可愛い!」
    聞いてないのに、シャチとペンギンが囃し立てる。
    「それからこれだな」
    鏡越しにローは片手に持っていたものを🌸の額にあてがう。
    後ろで結びあげれば、それはバンダナだった。
    「寝る時に目をそれで覆えばいい」
    マシだろ? と。言われ、🌸は頷くことしか出来なかった。
    「色はそれでいいな? すまない、この2つの会計をたのむ」
    店員に声をかけるローに、🌸はハッとした。
    奴隷としてヒューマンショップに連れてかれる寸前だった自分はお金なんて1ベリーも持ってないのだ。
    「キャプテン、わたし、お金……」
    「気にするな」
    支払いを済ませ、袋詰めされたサングラスとバンダナを受け取り
    🌸はすっかり気分が落ち込んでしまった。
    「いいなー🌸だけ。キャプテンおれにも新しいサングラス買ってくださいよー」
    「じゃあ、おれ新しいキャップ欲しいです!」
    「おまえらは自分で買え」
    ピシャリと言い放つローに、2人はシュンとする。
    「……キャプテン、わたしに、なにかできることありますか?」
    「なんだ急に」
    「だって、こんなに良くしてもらって……。わたし、なにかお返ししたいんです」
    「……」
    ローはしばらく黙り込む
    「ソナーマンとしての腕をあげろ。それがおれ達、そしてポーラータングを守ることに繋がる」
    「アイアイ、キャプテン!」
    抱えていた袋をだきしめ。🌸は居住まいをただした。
    ここから、ここからきっと何かが始まるんだ、そんな期待を胸に感じ、
    3人に連れられ、🌸はポーラータングへの帰路を歩いたのだった。
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