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    tyoko54_OPhzbn

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    🍭兄さん。結婚してるよ。

    違いプリンちゃんに誘われてショコラタウンで3時のお茶を共にすることになった。
    「義姉さん、いらっしゃい!」
    「プリンちゃん、お誘いありがとう」
    「今日は聞きたいことがたくさんあるんだから! さ、座って座って」
    プリンちゃんに背を押され、席につくと、ティーポットのホーミーズが待ってましたと言うようにお茶をそそいでくれる。
    『美味しい紅茶を召し上がれ〜〜♪』
    歌いながら自らやってきたティーカップを手に取り、プリンちゃんを見た。
    「プリンちゃんの聞きたいことってなに?」
    「ペロス兄さんのことよ!」
    身を乗り出しそう言いながら、プリンちゃんは続ける。
    「義姉さんとペロス兄さんの話が聞きたくって……」
    うっとりとした様子で、紅茶に口をつけるプリンちゃんに、何か話せるような出来事はあるだろうかと思案する。
    シャーロット家長男のペロスペローと結婚をして早いもので1か月は経つが、これといって話せるような大きな事柄なない。
    「話せるようなことなんてないよ?」
    ペロスペローとは親子ほど歳が離れてるせいもあってか、優しく扱ってもらっている。しかし、その程度だ。
    「うそ! だって、キャンディ島では噂で持ちきりよ。ペロス兄さんがずっと機嫌が良いって」
    初めて聞いた話だった。そもそも、自分は万国に来てまだ日が浅い。
    普段のペロスペローが仕事場でどんな風に過ごしているのかまでは知らないのだ。
    「だから、きっと、義姉さんとラブラブなんだと思って……」
    両手で頬を挟み、なぜか頬を赤らめるプリンちゃんにおかわりの紅茶をホーミーズが注ぐのを見ながら、お茶うけのクッキーをつまんだ。
    「ペロスペローさんは優しいし、素敵だけど……私たちデートもしたことないよ?」
    「え」
    プリンちゃんの動きが止まり、驚いたように目が見開かれる。
    「デート、したことないの?」
    「お忙しい人だから」
    仕事場と家の往復。それがペロスペローの日常で、私はそれを支えるように家事などをしているが、それもホーミーズの手伝いのようなことばかりで本当に何か役に立てているかはわからない。
    食事は全て作っているが、優しいペロスペローだ。全部、美味しいよと言ってくれる。
    肩をすくめながら「ほら、何もないでしょう?」と言えば、プリンちゃんは立ち上がり「じゃあ、今すぐキャンディ島に行ってみましょう!」と力強く拳を握る。
    「え、え?」
    「ペロス兄さんに直接聞くの! 義姉さんのことどう思ってるか!」
    「え!」
    言うが早いが、プリンちゃんはラビアンを呼ぶと私の手を引き一緒に飛び乗る。
    「ラビアン、キャンディ島ペロリタウンまで!」
    『は〜〜い』
    のんびりとした答えを返し、ラビアンが飛び上がる。
    「ちょ、ちょっと待って、プリンちゃん!」
    慌ててプリンちゃんを止めようとするがもう空の上だった。
    「だって、デートもしてくれないなんてひどいじゃない! だから聞いてみなくちゃ!」
    その気迫に圧倒され、私はなす術なくペロリタウンまでラビアンに揺られながら向かうのだった。

    キャンディ島は飴細工の街。どこもかしこもキラキラと輝く飴細工で彩られている。プリンちゃんはラビアンの上からペロスペローが働いている館を見つけるとそこへ降りるようにラビアンに頼んだ。
    「プリン様?」
    「ペロス兄さんに会いたいの。義姉さんも一緒よ」
    館の守衛にそう伝えると、守衛はこちらをみて「奥様!」と頭を下げる。
    「さ、どいてちょうだい」
    「はっ!」
    守衛に申し訳なく頭を下げて、プリンちゃんに続いて館の扉をくぐる。
    ここが、ペロスペローの職場かと思わず見渡してしまうが、どちらかといえば不安の方が強かった。
    ペロスペローの気分を害してしまうのではないか。
    「ペロス兄さん、私、プリンよ」
    はっとすると、もうプリンちゃんがペロスペローの執務室の扉を叩いていた。
    しばらくすると、足音と共に扉が開かれる。
    「プリン。どうした……🌸?」
    プリンの後ろで縮こまる私をみて、ペロスペローは驚いたように目を見開く。
    「どうかしたのかい」
    「えっと」
    どうしたものか、と視線を彷徨わせているとペロスペローが身体を屈める。
    「急用なら仕事を切り上げよう。具合が悪いわけじゃないか?ペロリン」
    心配そうな声色でいつものように気遣ってくれる。
    「そうじゃないの、えっと、顔を そう、顔を見たくて」
    「顔?」
    「うん。そう」
    苦し紛れにそう言って笑って見せると、ペロスペローは一瞬キョトンとした後、小さく笑った。
    「……そうか。そりゃ、嬉しいな。わざわざ仕事場までくるとは。寂しがり屋のキャンディちゃんだぜ、ペロリン」
    頭を撫で撫でと撫でられる。プリンちゃんをそっと見れば、何かに驚いたような顔をしていた。
    「それで、プリンはどうかしたのか?」
    「あ、あー!私、義姉さんと一緒にペロリタウンでショッピングしに来たの! そのついでに義姉さんがペロス兄さんの顔を見たいからってついてきたのよ」
    そう言って、私の手を取ると、「それじゃあ、お邪魔しました!」とぐいっと私を引っ張り館の外まで連れ出される。
    「プリンちゃん?」
    押し黙ったままのプリンちゃんは、こちらを向くとキラキラとした目をしていた。
    「あんなに甘いペロス兄さん、見たことないわ!」
    興奮気味にそう言うプリンちゃんは、手をブンブンとした。
    「私、あんまりペロス兄さんとは話したことないんだけど……あんな柔らかい笑顔初めてみたわ。義姉さん愛されてるのね……!」
    素敵だわ!とうっとりするプリンちゃんに、私は「いつも通りだった気がするけれど」と言えば
    「じゃあ、いつも愛されてるのね」
    と返された。兄妹や町の人が知っているペロスペローと自分が知っているペロスペロー。それが違うことに気づいて、私は急に高鳴り始めた胸をそっと抑えるのだった。
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