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    tyoko54_OPhzbn

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    ラフィット🪄

    なぞなぞなぁに/ Blue【なぞなぞなぁに】
    ハチノスは彼女にとっては驚くほど退屈な場所だった。
    窓の外から怒号や叫び声、悲鳴が聞こえてくる。
    部屋の中にそれらが入ってくるのが苦痛で、窓を閉めた。
    「おや、閉めてしまうのですか」
    風の通りが悪くなりますよ。と声をかけられ、目線を向ければ
    我らが五番船船長、ラフィットが立っていた。
    「船長」
    どうしたんですかと聞く前に、ラフィットは杖で椅子をひくとそのまま腰掛けた。
    長い足を組み、閉めてしまった窓を見て、さも残念だと言うように続ける。
    「今日は風が気持ちよかったんですけどもね」
    部屋に入ってきて、自分勝手にいうラフィットに🌸は肩をすくめる。
    こうなったら彼はテコでも動かない。
    気がすむまで部屋に居るか、それか誰かに呼ばれるまではここに居るつもりだろう。
    ラフィットは鼻歌混じりに、🌸の部屋を見回して「殺風景ですね」と呟いた。
    「別に、ここでずっと暮らすわけじゃないですから」
    そう言いながら向かいの椅子に腰掛ける。
    「日々の癒しは必要でしょう? 本の数冊あってもいい」
    そういって、テーブルの上にどこから出したのか一冊の本を置き、すっと🌸に向けて滑らせた。
    「Riddle me, riddle me ree」
    タイトルを読み上げると、ラフィットはその三日月のような唇の口角を微かに上げる。
    「私は小さな木にぶら下がってるおちびさん。手にはつえ、喉には石ころ。答えられたら、銀貨をあげましょう」
    「……なぞなぞですか?」
    首を傾げて、口の中で言葉を繰り返す。木にぶら下がってる。手にはつえ。
    喉には石ころ。
    なんとなく、木の上で鼻歌を歌い、杖を上機嫌で回すラフィット船長が浮かぶが、多分違うだろう。
    「木……杖…ぶら下がってる…」
    パッパッパと浮かんでは消える解答にどれも納得しない顔で考えている🌸が面白いのか、ラフィットはホホホ、と小さく笑う。
    「そろそろ答えを頂けますか?」
    長い指先を揺らし、この手に答えをのせろ言わんばかりに手を差し出しているラフィットに、🌸はなんとか答えを告げる。
    「……さくらんぼ?」
    「ご名答!」
    パチパチと拍手をし、何もないところから銀貨を取り出すと、マジシャンのように指から指へ銀貨を滑らせ、そのまま🌸に差し出す。
    「ご褒美です」
    「…これ、チョコレートですよね」
    渡されたそれは、子供向けの銀貨を模したチョコレートだった。
    「ホホホ、日々の癒しですよ……その本もチョコレートも差し上げます。楽しんでください」
    そう言い残すと、ラフィットはシルクハットを被り直し、部屋を後にした。


    【Blue】
    「髪を解いてくれませんか」
    櫛を持参してきたラフィットに🌸はそう言れた。
    彼は椅子に腰掛けると、さぁどうぞとシルクハットを取り去りその上で手を組みながら、櫛を渡された🌸が髪に触れるのを待っていた。
    「なぜ……?」
    「今日は雨ですから」
    確かに今日は雨だった。打ちつける雨粒は大きく窓にあたる度に大きな音を立てている。
    だから、今日は髪を梳いてもらうのだと、もっともらしく言うが理屈が分からない。だが、ラフィットが理屈がわからないコトを言うのはもはや当たり前で、🌸にとっては日常になりつつあった。
    だから、今もなんとか頷き、櫛でラフィットの髪を梳かしはじめた。
    真っ直ぐな黒髪に櫛を通す。整っている髪に櫛を通す行為は逆にラフィットの髪を乱しているのはないかと疑問に思ってしまう。
    「最近はどうですか? 何か楽しい事などありました?」
    前を向いたまま、ご機嫌で髪を梳かれ、ラフィットは🌸に尋ねる。
    「……なにもないですよ。ラフィット船長は?」
    「私の事は話してないですよ。あなたの事です」
    櫛を動かす手を思わず止める。
    「……楽しいかはわかりませんが。言葉遊びを少し聞きました」
    「それは、ぜひ聞きたいですね」
    興味があるんだかないんだかわからないトーンでそう言われ、🌸は聞いた言葉遊びを口ずさむ
    「Hickory, dickory, dock,The mouse ran up the clock.
     The clock struck one,The mouse ran down Hickory, dickory, dock.」
    「ホホホ、dock 、clock 、struckの韻ですね。ずいぶんと可愛らしい言葉遊びを覚えましたね。どこで聞いたのですか?」
    「さぁ……」
    覚えてない。誰かに教えられた気もするし、勝手に聞いた気もするし……
    曖昧に答えると、ゆるりとラフィットが顔を向ける。
    「The rose is red, the violet’s blue,sugar is sweet, and so are you.」
    「え」
    「BlueとYouの韻ですよ。いかがですか?」
    「……いい、と思います」
    綺麗な言葉の並びだった。先程、並べた子供向けの韻が何だか急に恥ずかしくなる。
    「ホホホ」
    笑いながら、また顔を前に向けるラフィットに🌸はどうしたもんかとまた櫛を動かした。

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