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    tyoko54_OPhzbn

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    ラフィット🪄 リクエスト夢。

    キャンディキラキラとしたまんまるな棒付きキャンディが枕に置かれるようになったのは、黒ひげ海賊団5番船に乗ることになってからだった。
    共同船室の2段ベッドの上。最初は誰かが間違って自分のベッドに置いてしまったのだと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
    同じ船室の船員に聞けば、誰も知らないと首を振った。
    「またある……」
    見張り番を終え、ラフィット船長に報告をした後、白んできた空を見てから船室に入れば
    やはり枕の上には棒付きキャンディが置いてあった。
    「今日は……いちごかな」
    窓から入ってくる薄明かりに、ピンク色をかざす。毎晩毎晩、一体誰がコレを置いているのか。
    ベッドの上であぐらをかき、今まで枕に乗せられていたキャンディを1本づつ見直していく。紫、青、緑、黄色、オレンジ。
    「どうしようかな。これ」
    ゴロリと横になり、キャンディを手の中で転がす。
    どうにも口をつける気にはなれなくて、今までずっと溜め込んでしまっている。
    明日もまたあったら、ラフィット船長に報告した方がいいだろうか。
    いや、個人的な悪戯のような事をわざわざ、船長に報告するのもどうなのだろうか。
    うとうと、とそんな事を考えていると、他の船員たちが起きはじめた音がしはじめる。
    キャンディのことを考えていたらすっかりと時間が経っていたようだ。
    夜の見張り番をしていた自分は関係ないと、瞼を閉じた。
    「……うそ」
    昼前に目を覚ますと、自分が手に持っていたキャンディが2本に増えていた。
    ピンクの横に紫色の棒付きキャンディ。眠っていたとはいえ、どうやって握らせたのか。
    流石に気味が悪いと顔を顰めていると、昼の点呼をとる声が扉の外から聞こえる。
    慌ててベッドから飛び出して、身支度をし、握ったままのキャンディはポッケに押し込んだ。
    それから何日か過ぎてもキャンディの数は増える一方だった。
    1日に1本ずつだったが、1度に2本の時もあった。
    そして、途端に毎日ではなく、間隔を空けて置かれるようになった。
    飴の数が増えれば増えるほど置いていった相手を意識してしまう。
    私に何か言いたいのではないか。
    甲板で、太陽にキャンディを透かしてキラキラと丸の中で光が乱反射しているのを眺めながら考えていれば
    「いいものを持っていますね」と声をかけられた。
    「あ、ラフィット船長……」
    シルクハットに杖を携え、薄ら笑いを浮かべるラフィット船長がスラリとした指でキャンディを示す。
    「食べないのですか?」
    「えっと、それは……」
    なんと説明すればいいのだろうか。
    口籠もっていると、ラフィット船長は私が手に持っていたキャンディを取り上げてしまう。
    「フルーツキャンディですね」
    ラベルを見てから、透明な包みを取り去り、自分の口に近づける
    「あ、待ってください!」
    「どうしました?」
    キャンディに口をつけようとするラフィット船長に待ったをかけるが、やはりいい言い訳が思いつかない。
    「食べようと思って、て」
    絞り出した言葉に、ラフィット船長がキャンディと私を交互に見たあと、目を細めた。
    「そうでしたか。それは失礼」
    すっと私の口にキャンディが向けられる。
    「お返しします」
    「……」
    ラフィット船長の手からキャンディを口で受け取る形になり、じんわりと舌に甘い味が広がる。
    ついに、口をつけてしまった。
    「美味しいですか?」
    「……レモンの味がします」
    本当に食べて大丈夫なのだろうかという思考がぐるぐると頭をまわり、動悸がしてきた。
    しかしラフィット船長の手前、吐き出すわけにもいかない。
    もし吐き出したら、このキャンディのことを一から説明しなければならないのだ。
    「……私、好きなんですよね。キャンディ。長く楽しめますから」
    「はぁ……」
    溶けていくキャンディを早くどうにかしたくて、この話が早く終わらないかとヤキモキする私をよそに、
    ラフィット船長は話を続ける。
    「食べた後も、しばらく口がフレーバーのままというのも素晴らしい」
    そのあと、色がいいだの、見た目も愛らしいだのラフィット船長がキャンディの話をし続けるものだから、私の口の中のキャンディはもうすぐ全部溶けきってしまいそいだった。
    ラフィット船長の言葉を聞き流しながら、体調に何か異変がないかばかり気になってしまう。
    「あぁ、それからキャンディは"あなたが好き"と言う意味があるんですよ」
    その言葉にギョッっとして、残っていたキャンディを噛み砕いてしまう。
    「どうかしました?」
    「い、いえ……」
    「あぁ、もし、キャンディが欲しければいつでも私に言いなさい。たくさん、持ってますから」
    「え」
    すっかり溶け切って棒だけになったそれをラフィットはすっと取り上げて、呆気にとられる私を見下ろす。
    「美味しかったですか?」
    「……はい」
    「それならよかった」
    笑みを残して、ラフィット船長が背を向ける。
    私はただその後ろ姿を見つめることしかできなかった。
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