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    tyoko54_OPhzbn

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    キャベンディッシュと盲目の🌸

    海に行こう美しすぎて国を追い出される事は、キャベンディッシュの人生では大きなニュースで有れど重要な事ではなかった。
    「僕と一緒に海にでよう!」
    5億ベリーと74人の部下を与えられ、即日、国を出るように言い渡された晩。
    キャベンディッシュは🌸にそう伝えた。
    裏通りの小さな窓、三回ノックをすれば窓を開けて🌸が顔を出す。
    今夜もいつも通り、三回ノックをして彼女が窓を開けるのを待った。
    静かに開けられる窓から彼女の顔が見えた瞬間、キャベンディッシュは
    高らかに海に出ようと言ったのだ。
    「海に?」
    「そうさ! 僕は美しすぎる故に国から出ていかなければならなくてね……もちろん、君を置いていくわけには行かないだろ? だから、僕と一緒に海に出よう! そして美しき海賊団で共に過ごすんだ!」
    「なぁにそれ」
    くすくすと笑う🌸にキャベンディッシュは、むっと口を尖らせる。
    「🌸。また君は僕が嘘をついてると思ってるんだろう?」
    「だって、美しすぎて国から追い出されるなんて……」
    くすくすと、口元を隠し声を抑えて愛らしく笑う姿はいいが、嘘をついてると思われるのは心外だった。
    「君は、僕の美しさを知らないからそう思うんだ。実際、僕は美しく強い。僕のせいで国中の女性が結婚しない程だからね……だから国を出なければならない……」
    「貴方が美しいのは信じてるわ。もちろんよ。でも、美しいからって国から出なきゃなんて……」
    そんな事あるの?とくすくすと笑う。キャベンディッシュはふんっと鼻を鳴らし、🌸の手を取る。
    「まぁ、いいさ。信じてくれなくてもね。とにかく大事なのは君が僕と海に出るかどうかだ。もちろん、イエスと言ってくれるだろう?」
    「……それは」
    狼狽える🌸に、キャベンディッシュはぎゅっと手を握る力を強める。
    「なぁ、🌸……僕は君ほど、美しい人を知らない。僕は君を愛してるよ」
    「キャベンディッシュ……ごめんなさい。私は貴方の気持ちに応えられない」
    「どうして!」
    言葉を強め、強く手を握り、🌸が小さく声を上げた。
    「す、すまない」
    パッと手を離すが、視線は🌸を見つめたまま、その手を頬に伸ばした。
    「君の目のことかい?」
    閉じられたままの瞳。瞼を撫でる。🌸は唇を結んだまま俯く。
    🌸は幼い頃から目が見えなかった。閉じられたままの瞳は光も色も見る事はなく、美しいと言うキャベンディッシュの顔もわからない。
    「海は、きっと、青くて広いんでしょう?」
    「あぁ、美しいよ。青く広く美しく、雄大で……そして自由だ」
    「じゃあ、ダメ。行けない。貴方の自由に枷をかけたくない」
    頬に触れるキャベンディッシュの手を取り、そっと自分から離す。
    「私が貴方の足を引っ張ってしまうもの」
    そう言って窓をそっと閉めようとする🌸に、キャベンディッシュは胸の奥が苦しくなるような感覚を覚えた。
    「そんな事は気にしなくて良いんだよ! 君はただ僕について来てくれるだけでいいんだ!」
    窓の間に自分の手をいれ、閉めさせまいとする。この窓が閉まったら、🌸との関係が永遠に閉じてしまうような、そんな焦りがあった。
    「何度でも言うさ! 僕は君を愛してる! 枷になる!? 君が!? 愛しの🌸が!? ありえない。だから、お願いだ、一緒に、一緒に海に出よう」
    熱っぽくそう言いながら、部屋にそのまま乗り込むほど、身体を寄せるキャベンディッシュを見て、🌸は口を開いた。
    「本当に……貴方の邪魔にならない?」
    「美しく強い僕だ。何も心配はいらないよ」
    もう一度、今度は指を絡めるように手を握りキャベンディッシュは🌸の耳元に顔を寄せる。
    「愛してるんだ」
    くすぐったい響きに、🌸はきゅっと唇を結んだ。頬は熱く、心臓はドクドクと煩かった。
    「私も、好きよ」
    「🌸!」
    歓喜の声を上げ、キャベンディッシュは抱きつく。抱きしめられ、背中に回された腕は優しく暖かく、🌸は安心感に包まれていた。
    「でも、一つ約束して」
    「約束?」
    顔を🌸に合わせ、首を傾げる。
    「キャベンディッシュが危ない事はしないでね」
    「もちろんさ!」
    もう一度抱きつき、🌸を離すまいと、キャベンディッシュは腕に力を込めた。
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