雨の雫 花の雫サァァァァァァ…
外から聞こえるのは雨の音。
折角満開に咲き誇った桜も、雨の雫を追いかけるようにハラハラと落ちている。
そんな様子を山姥切国広は縁側で見ていた。
普段は晴れていても雨が降っていても、隣にはいつも好きな人が座っていた。
告白はしていないが、今の関係のままでいいと思っている。
自分は相手にとって不釣り合いだと思う。
山姥切は小さくため息をつくと、空を見上げた。
雲はいつも以上に暗く、まるで自分の心の様。
目を閉じ、雨の音を聞こうとすると今まで聞こえなかった音色が聞こえた。
「山姥切。」
それはいつ聞いても綺麗な音色だった。
他の男士の名を呼んでもそう思わないのに、自分の名を呼ばれると不思議と心が温まる。
山姥切は目を開けると、声という音色が聞こえた方を見た。
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