ラウグエアドベント『ごちそう』「じゃあラウダってクリスマス、祝ったこと無いんだ」
「うん。お寺が経営してる児童養護施設だったからね」
軽く照明を絞った部屋の中、テレビの僅かな光に照らされた顔がこくりと頷く。
家庭教師のバイトが急遽休みになったラウダと、いつもだったら夜中まで勉強するけど冬期休暇のせいで大学図書館から閉め出されたグエル、暇をしていた俺、の三人で、集まってだらだらとホラーを見ている。
画面の向こうでは主人公の幼なじみでありすべての黒幕だったサイコパスが血みどろになって斧を振り回していた。いわゆるクライマックスというやつなんだけど、俺とラウダの会話を聞いたグエルは何の未練も見せずにくるりとこちらを振り返り、尋ねた。
「でも『前世』では? 俺たち一緒に暮らしてたんだろ?」
2678