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    さくみ

    @393online

    随時ラクガキか小説更新。大分やりたい放題。なお、勝手に消すことあるます。気に入った、刺さったものあればリアクション、感想等どうぞ🌠

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    さくみ

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    彼氏の家に泊まりになったら彼氏の判断は?

    鋼メンタル重視「泊まってもいい?」
    「えっ」
    未夢両親、親父共々ぱったり不在になった夏休み。課題をやりに来ていた未夢がそんなことを言い始めた。
    「泊まり?」
    「ダメ?前一緒に住んでたことを考えたら楽勝でしょう?」
    「楽勝って…あん時は…」
    実質4人だったから、って言いたかったがもう泊まる気満々で準備して来るなんて言い、課題を置きっぱなしにして出て行った。
    「えっ、マジか…」
    ━━━━━━━━━━━━━━━
    夕飯もそこそこに、未夢が風呂場へ行っている間に、昼間掃除機を掛けておいた客間の押し入れから布団を出して置く。ここは彼女が居候の間に使っていた場所なのでここなら本人も気にしないだろうと思っていた。
    でも一番気にしているのは、
    「なんで今更泊まりたいとか言ったんだ?」
    理由の方だ。仮にもし、元の町に帰っているとして泊まりならどうぞご自由になんて迷わないゆとりがあったかも知れない。しかし転校がなくなり、寺の敷地内にどっしり構えた邸宅がある。わざわざ泊まる必要性を感じない。しかも、
    「親父も両親がいない間に泊まりたいって……」
    何かを期待されている?と勘違いしそうになる。なんと言っても交際して2年経った。淡い期待を持ってしまう。
    「お風呂ありがとーあれ…」
    「この部屋使ってた部屋だから自由にしていい、ぞ?」
    風呂場から戻って来たようだが、何となく納得してないような、そんな顔をしているように見えた。
    「え、あー…彷徨の部屋は、やっぱダメ、だよね?」
    「えっ」
    爆弾投下された気分だった。
    「何で、おれの部屋?」
    「友達が彼氏さんのお部屋に夏休み泊まりに行くんだーって言ってて……か、彼氏のお部屋でお泊まりって、何かいいなぁって……ダメ?」
    ダメですと言いたい。風呂上がりにボディミストのせいで甘ったるい匂いをさせていて、おれが可笑しくなること間違いない。それにその友達は"そのつもり"なんだろうけど彼女の場合、それは微塵も感じてないだろう。
    だから部屋は断るつもりなのに出た言葉は、
    「わかった」
    だった。あぁ、やってしまった。
    「わーい♡」
    「………はは」
    素数でも数えるしかないな。
    ━━━━━━━━━━━━━━━
    時刻はもうすぐ23時。談笑で誤魔化して気にしないようにしていた。途中になっていた本を見始めていると、ウトウトし始めた未夢。
    「先に寝てていいぞ?おれまだもうちょい見たいから」
    「う…ん…そうするぅ…」
    先に寝てくれたらもう今日はクリアしたようなものだ。結局客間から引っ張って来た布団は敷いてある。黙ってダイブして寝てしまってくれればそれでいい。だが、おれの願いは潰える。未夢がダイブした布団はおれの布団。
    「えっ、ちょ!」
    「んー…?ふふ、あー…彷徨の匂いするー…」
    いや、そもそもこの部屋はおれの部屋なんでそれは当たり前なのに、布団から直で匂いチェックされてるような気分だ。
    トドメには。
    「ぎゅって…して貰ってる、みたいー…」
    鈍器で殴られた気分だ。コイツが純粋すぎて辛い。
    「彷徨もー…寝よ?」
    本を閉じ、電気を消した。
    未夢は深く考えてないだろうけど、この2年でおれがどれだけグラついているか知らないのが腹立つ。
    「襲われたいのかよ…人の布団で勝手に寝ようとして…」
    本当に狙ってやってるなら大物すぎるがそれはシロだろうな。
    「はー…ったく、変な気分にさせんなよな…」
    開きかけた馬鹿な邪心にはきっちり蓋をして、客間から持って来た布団に入る。隣では、人の布団で勝手に転がり始めたヤツはもう電池切れを起こしていた。
    「うわ、ホントに寝たよコイツ…これはなーんにも考えてないな」
    今日は見逃しに徹してやることにする。
    「しょうがない。このまま寝るか…」
    呑気な顔でぐっすりだ。
    「ま、まだ暫く我慢してやるよ。ただ、おれも出来た人間じゃないんだからな?」
    手を滑らせてさらりと頭を撫で上げる。睡魔が緩やかに流れて来た。
    変な気分にさせてくれたから、ちょっとした仕返しとして陣取られた布団に無理やり入り込む。1組のシングル布団に無理に2人。明日どんな顔するか楽しみだ。
    ━━━━━━━━━━━━━━━
    翌朝目を開けると、真っ赤な顔してこちらを見つめる目と合った。
    「え……………?」
    「…おはよ?」
    案外コイツから入って来たって雰囲気に出来そうな気がした。流石に起きたてでそこまでの頭今ないけれど。
    「よーく眠れましたか…?人の布団でぐっすり眠ってくれましたね」
    「あ、あ…の…わたし…なん、で…?」
    「おれもビックリ…ですけど?」
    あーあ、パニックになってるなこれは。
    「近いなー…」
    「ひょあー」
    「何もされなかっただけ有り難いと思えよ?」
    そう言って、朝食の準備をするために立ち上がろうとしたら、掴まれる。
    「何もって…何?」
    全く、せっかく昨日我慢したのに。
    「何でしょうね?ま、後々分からせてやるよ」
    「な、に、知ってるの?」
    さっと屈んで口付ける。
    「~っ」
    「…少なくとも、こんなもんじゃないって事だよ」
    その時は覚悟してもらう事にする。
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