心が汚いと聞こえが悪い彷徨にどうしても聞いて欲しいことがあり、西遠寺に駆け込んだ。開いたままの玄関には未夢ちゃんのスニーカーもある。楽しいひとときの邪魔はしたくなかったが、とりあえず混ざらせてもらうべく、そのまま彷徨の部屋の前に来た時だった。
「彷徨ぁ、あっ、そこ抜いちゃ…」
「何言ってんの?まだ余裕だろ?」
「あ、ダメ、やだやだ抜いちゃ、ダメ!」
「なに、ダメ?じゃ、ここは?それともこうして欲しい?」
「それ…上に乗ったら…わたし……」
「じゃ、そうしよ、ほれ」
「いやー!」
耳を疑う。中ではとんでもないことが展開されているハズ。だが、声が丸聞こえなのは些か不味いしはしたない。正義感に燃え、目の前の戸を思い切り開けてしまった。
ガラッ
「何してんのぉそりゃお前らは関係としてそういうこともアリなんだろうけど、廊下まで声ダダ漏れはマズ、い……」
三太と2人は目をまん丸にした。瞬間にテーブルの木のタワーがガシャンと崩れた。
「あ」
「あー…三太、邪魔すんなよ。よし、やり直しだな」
「え、ルール状今のは彷徨の負けでしょ?」
「あのぉ………お前ら何を…その木の玩具、何?」
「「ジェンガ」」
見事なハモリ。
「彷徨が抜き取った所がうまく乗ったらわたしヤバかったもん絶対崩れる所だったもん」
「負けた方が明日ついでに買い出しって罰ゲーム付き」
三太は涙と赤面しながら退散して行った。
「俺の心は汚かったぁぁぁ」
「で、結局何?」
「さぁ?」