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    さくみ

    @poisaku393

    随時ラクガキか小説更新。大分やりたい放題。なお、勝手に消すことあるます。気に入った、刺さったものあればリアクション、感想等どうぞ🌠

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    さくみ

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    すっごい邪道かも知れない。
    推定30歳後くらいの新だぁの彷徨くん×時空の歪みで飛ばされてきたお付き合い前の14歳未夢っちの話。なんでも許せる人向け。

    その先は知らないままで袈裟を纏ったその人は、わたしの知る人とは背丈が全然違う。カッコイイと綺麗がどちらも混ざったような……でも、分かる、きっとこの人は彷徨だと。
    「「…」」
    めちゃくちゃ目が合ってる絶対気付かれてるよねヤバいよどうしよう。かなり後の未来に来ちゃったんだ。
    「……あー…とりあえず来い。母屋はマズイから本堂に」
    「は、はい……」
    咄嗟に出た敬語。だって大分歳上の彷徨だよね。本堂に半ば早急に移動して、『彷徨さん』は本堂の全扉を締め切った。
    「はー…」
    きっとおじさんの跡を継いで住職さんになったんだよね。あれだけ興味無さげだったのに大人になって考えが変わった、のかな?
    「おい、幾つの時だ?見た目は14くらいだと思うんだが」
    「せ、正解…です」
    「時空の歪みか。また面倒だな…」
    「わたしも、そう思い、ます」
    「なんで敬語だ?おれが誰かなんて分かり切ってるだろ?」
    「と、歳上だから…なんとなく…」
    彷徨だけど、何か違うんだもん。
    「変な気使うな。いつも通りでいい。こっちもそうする」
    「でも…」
    「いいから」
    「う…」
    「それにしても14の未夢見るなんて何年ぶりだ?驚いた…おれも老けたもんだははっ」
    わぁ、笑った。彷徨ってこんな表情出来るんだ。わたしの知ってる彷徨は表情筋かなり硬いと思う。
    「彷徨は、今幾つなの?」
    「んー…もう未夢の倍以上の歳だからなぁ」
    えっ、つまり…少なくとも30歳くらいにはなってるって事ひえぇー!わたし今とんでもない所に来ちゃってる
    「元に戻るまでこっから出るなよ?人払いはするから」
    「あ、りがと」
    「っとー…ヤバいなそろそろ帰って来そうだ。ちょっと行ってくるからこっから出るなよ?「何が?」
    え、この声は…と思ったけどその人の姿は確認出来なかった。直前に彷徨の袈裟の中に隠された。ひえぇーわたし今どういう状況なの目を手で全部抑えた。耳だけが音を拾う。
    「あ、あぁ、お帰り」
    「聞いて聞いて、スーパー大特価!そしてね、ビンゴゲームがあって次使える3000円引きの買い物券当たったの凄くない?」
    「あ、あぁ。そうだな」
    「なぁに引きつっちゃって。今日はお勤め終わってるでしょ?羊羹買ってきたのお茶にしましょうよ」
    チラっと見えた女の人の足。腕から聞こえる衣擦れの音。
    「?どうしたの?腕痛いの?」
    「あ、足痺れて動けないからさぁ…後で行くから、み………先に行ってろよ」
    「痺れてって…立ってるじゃない」
    「と、兎に角後で行く。先に行ってろって」
    「変なの…じゃあ準備してるね」
    「あぁ、よろしく…」
    ピシャっと閉まって、音が遠ざかった。袈裟がバサッと外れて本堂内がまた目に入る。
    「すまん、咄嗟にこうするしかなかった。タイミング悪すぎだろ」
    「…み、見えなかったけど、もしかして…」
    「ん?あぁ、奥さんだよおれの」
    うっ、やっぱりちょっと、わたしに声似てたな…んな訳ないか。
    「そっかぁ彷徨ちゃんと結婚するんだー」
    「おいおいどういう意味だ…」
    じゃあやっぱり、
    「お子さん、も?」
    「あぁ、一人娘がいる。今の時間は小学校に行ってるから遊んでから帰って来るよ」
    む、娘も……!わたしの知らない先の未来、知りたくなかったかも。
    「さて問題はお前をどうするかだが…」
    「元に戻ったら、今見た記憶無くなっちゃえばいいのに…」
    知らなくてよかった。知らないでいた方がいい事あるってこういう事かも。
    だってわたし、彷徨の事…
    「忘れてるから心配するな」
    「え?」
    「見た事もおれと話した事も、元の時代に戻れば忘れてる。だから気にしなくていい。だから未夢は、その時の今を後悔しないように過ごせばいい」
    「…」
    「後悔しない生き方はおれも難しいと思ったけど、おれは何も後悔してない。今だからだけど、家族って、やっぱりいいなって実感しているからな」
    後悔しないように、か。凄いな彷徨って。
    「ふふ、そろそろ行かないと奥さんにまた怪しまれるよ?」
    「あー…そうだな…じゃあ行くかな」
    彷徨が腕を伸ばして頭に手を置いた。大きい、大人の手。
    「お前が望んだ人生になってるといいな。じゃあ忘れるついでに言っておくよ。おれの奥さんは……」
    急に意識が遠のいた。えっ、待って、ちゃんと…まだ見せてよ!わたしは…
    「未夢!」
    「未夢さん!」
    「マンマ!」
    「……っ」
    飛び起きた。ここは、本堂?
    「よかった気が付いた、大丈夫か?」
    何かよく分からないけど、変な夢を見ていた気がする。
    「うーん…頭ちょっとボンヤリするけど大丈夫」
    「それはいつもの事だから心配はしてない」
    「なぁんですってー」
    「それにしてもびっくりです。未夢さんが本堂で倒れているのを発見した時彷徨さん相当驚いていたんですよ?お声ずっとかけてらしてましたから」
    彷徨が?わたしを?
    「…っ、別に。ただ、死んでたらヤバいと思ったからだ」
    「ありがとう」
    「ま、大した事なさそうだから、よかったよ」
    「ささ、大丈夫との事ですし、皆さんでお茶に致しましょう!羊羹買ってきたんですよ~」
    「マンマぁ~」
    「ルゥくんも心配してくれたんだねありがと!ん?羊羹……何か引っかかるけどいいか!待ってよー」
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