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    さくみ

    @393online

    随時ラクガキか小説更新。大分やりたい放題。なお、勝手に消すことあるます。気に入った、刺さったものあればリアクション、感想等どうぞ🌠

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    さくみ

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    幼馴染みと言うのは、時に大きな壁となるのだろう。たまたま、彼女が海外へ行ったから事の進展はなかっただけかも知れない。でも、もし、まだ彼にその好意がどこか片隅にあるのだとしたら…?
    頂いていたエアスケブ依頼SS公開する。

    このまま、この先もメールの通知音だ。ピロンと聞こえた携帯はわたしの携帯じゃない。静かな部屋の中で、持ち主は今風呂へ行ったばかり。見るつもりはなかった。視界に"入って"しまった。画面に表示されたその名。知ってる人だけどある意味わたしには脅威なる人。綺麗で美人で、わたしとは比べ物にならない人だ。幼馴染みだから繋がりがあるのは仕方ないと思う。思うけれど…
    「…未夢!おい!」
    「え、な、何よってぎゃーなんて格好なのよバカー!タオルだけ巻いて来るなんて変態じゃない!」
    人がモヤモヤしてる時バスタオルだけ巻いて来た。全く信じられない。本当にデリカシーのない人だ。
    「バカ言うな置きそびれてたんだよ!悪いけどそこの一式取って」
    「もうっ!」
    畳まれてあったパジャマ一式ぶん投げて渡した。あぁ、イライラする、何でわたしだけイライラしなきゃいけないんだろう。
    「何すんだよ投げなくてもいいだろ」
    「人の気も知らないで!」
    「はぁ?」
    「うるさい!わたし帰る!」
    気分が悪い。
    「えっ、お前今日宿題教えろって…」
    「要らない!どうぞごゆっくり連絡しあってれば」
    「は?…連絡?」
    扉の前のバスタオル男を押し退けて玄関から飛び出して、自分んちに帰る。理不尽に怒ってるだけかも知れないけれど、人の幼馴染みの存在にモヤモヤする自分も嫌だ。
    玄関のドアを開けてしっかり戸締り。2階に上がって自分の部屋に入ってベッドに身を置く。
    「アキラさんを悪く言うつもりなんかこれっぽっちもないのに…幼馴染みってやっぱり強いなぁ…やだな…」
    明日、学校一緒に行きたくないなぁ。宿題だって結局手付かずだった。
    何もしてなくても朝は来てしまう。朝が来て、いつも通りの登校日。迎えに来てくれても、ちょっと目を合わせてすぐわたしの方が先に歩き出す。「おはよう」なんて言い難いし言えない。
    「未夢、何怒ってんだよ昨日から」
    「…」
    「訳わかんねぇ…おれ何かしたっけ?」
    「…」
    「あ、そうだ昨日連絡どうのって…おいっ!」
    聞きたくなくて彷徨を置いて走った。走ったら、当然ながらに追い掛けて来た。だって学校も同じだから仕方ない。それにしてもあぁ、早いなぁ。運動まで出来るなんてズルいヤツ。あっという間に肩を掴まれてゲームオーバー。
    「おいっ、て……未夢、ちゃんと話聞け!」
    「教えてよ。アキラさんと何の連絡してるの?」
    待ってわたし。それは、言っちゃったらダメなんじゃない?
    「何って…」
    「やっぱり彷徨はアキラさんみたいな人と一緒になった方がいいよ。わたしじゃ、合わないもん」
    ダメだよわたし、もう止めよう?
    「アキラさんと比べられたらわたし勝てっこないもん」
    「………あぁ、だから昨日から怒ってんの?携帯画面表示見たんだ」
    「見るつもりなかったわよ視界に入っちゃったの!そしたら………」
    「だからアキラと一緒になれってか。ふーん、それ本気で言ってる?」
    ギッと睨まれた。やだ、怖い…思わず下を向いて目を逸らしてしまった。だから止めればよかったのに。後悔しても遅いや。付かれた溜息が耳が痛く響く。
    話そうとしたかったけど、足早に彼が先に行ってしまった。あーあ、言わなきゃよかったのにわたしのバカ。
    どっちみちクラスは同じだから、謝る機会はある。と思っていたのにそういう時に限って彷徨を捕まえる事が出来ない。誰かが必ず話しているから。
    あぁ、もうっ!
    結局放課後になってしまって、ペシっとノートの端で叩かれた。
    「未夢、おれ今から委員会あるから先帰ってて」
    いつもと変わらない話し方。朝の事も嘘のよう。
    「ま、待って!委員会終わるまで待ってるから、後で…「おーい西遠寺、行くぞー」」
    「あぁ、今行く。待っててもいいけど、長いから…」
    「待ちたいの!」
    だってもうこれ以上ぎこちない事わたしだってしたくない。言い過ぎた事も謝りたい。
    「…クラスで待ってろよ。じゃあな」
    バタバタと行ってしまった。
    それからどれくらい経ったか、机で寝てしまっていたみたい。時計を見ると2時間くらいは過ぎている。外が少し暗さを帯びていた。
    「彷徨…」
    ガラッと教室の引き戸が開いた音がして、委員会終わったのか戻って来た。
    「あ…」
    「帰るぞ」
    「うん…」
    鞄を持って教室を出た。自分から待っていたのにわたしはうまく切り出せなかった。彷徨はわたしより少し後ろ。並んで歩きたいけど、それを壊したのはわたしだ。あぁ早く、早く話をしないと。そう思っていたら沈黙を切ったのは彷徨の方だ。
    「未夢はどうして欲しいの?アキラの連絡先消したら満足?」
    「ち、ちがっ…!…アキラさんにとって彷徨は…大切な幼馴染みだもん…消しちゃったら彼女が傷付くでしょ…やましい事なんてしてないって分かってる。分かってるけど…」
    「じゃ、消しとくよ」
    えっ、嘘でしょ?そんな事させたいんじゃないのに。彷徨は問答無用で携帯を出していた。ダメ、ダメ!そんな事しちゃダメ。
    「止めてってば!わたしはそんな事して欲しいんじゃないの!ただ…」
    怖かった。
    まだ心の片隅で、彼女への好意がどこかに残ったままになっているんじゃないかと言う不安だ。彷徨はわたしを大切にしてくれている。それは分かっている。ただのわたしの身勝手なヤキモチだ。
    「ごめん…だからお願い、それは消さないで…アキラさんの事を傷付けたいんじゃない」
    わたし、言ってる事めちゃくちゃだ。
    「はー……全く、めちゃくちゃだな…」
    呆れられた。そりゃそうだ。
    「おれも…ヤキモチ焼かれて実はちょっと嬉しいとか、めちゃくちゃだ。浮かれてんだよ結構」
    「は…?」
    「アキラからの連絡って言っても、忘れた頃に来る近況報告みたいな感じでしか来ない。証拠に文面見せようか?」
    携帯をずいっと見せて来た。そこにはアキラさんの最近の事しか書いてない。好意的なやりとり、やましい事、何一つない。
    「そうだ、日本に寄る事あったら未夢と買い物したいってさ」
    「え…あ…」
    「勿論行くだろ?アキラのやつ、お前ら買った物をおれに荷物持ちさせる気満々らしい…全く都合よく使われるな」
    「うん…い、行きたい!」
    「後で返事しておくよ。じゃあ、帰るぞ」
    少し後ろにいた彷徨が隣に来てわたしの手を引いて歩き出した。
    「仲直り、したいんですけど。してもいいですか?」
    「…うん、する!」
    引いてるだけで返せなかった返事を、握り返して。西遠寺到着までまだ少し先。少しだけスピードを落としてゆっくり歩く。
    「ゆっくり帰りたいなこのままで」
    「はいはい、分かりましたよ」
    「ごめんね、勝手にヤキモキして…引き続き、よろしくお願いします…です」
    「こちらこそです」
    「ね、わたしの事、好き?」
    「えー…嘘だろそれ聞くのかよ……………そうだよ…好きだよ」
    ぶっきらぼうにちょっと照れくさそうに。あぁ、やっぱり好きだなぁ。
    西遠寺に到着して、石段を上がって中段ぐらい。その手をすり抜けて彷徨より1、2段だけ上がって。普段は絶対にしないけど、今日は特別。
    その唇に自分のをくっ付けた。

    ──────────わたしもあなたが大好きなんです
    と意味を込めて。
    ━━━━━━━━━━━━━━━
    (さくみより)
    エアスケブのご依頼ありがとうございました!支部のもご覧になられてるとの事で応援ありがとうございます感謝です🙏
    未夢ちゃん視点になってしまいましたが、両想いならばと勝手に交際もさせてました💦後そんなケンカらしいケンカになってないやん…思ってたのと違うって事なら書き直し要請いつでもよいですよ仰ってくださいませ(; ᐛ )アセアセ
    ありがとうございました!
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    #書き出しと終わり #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/801664
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     これで全てが終わったと思った。ぼくは表舞台を離れ、地道にぼくの道を行く。真宵ちゃんは、家元として堂々と陽の当たる道を歩いていく。だから、ここでお別れだと……。でも、実際は想像していたものと全く正反対の反応だった。
    『よか 1359