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    さくみ

    @poisaku393

    随時ラクガキか小説更新。大分やりたい放題。なお、勝手に消すことあるます。気に入った、刺さったものあればリアクション、感想等どうぞ🌠

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    さくみ

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    かなみゆの1111。超ショート話しかない。

    1111[塩っ気日]
    「進まないー」
    来週提出する大嫌いな英作文が進まず、ゴロリと身を床へ転げた未夢。頼りたい人間が隣にいるが、生憎彼氏は朝から不在。三太に呼ばれて、と言うより無理矢理引きずられていきながら出掛けたのを目撃している。
    「三太くんめぇー…」
    早く彼氏を返してくれと言わんばかりにむうっと一人顰め面。
    そんな今日は11月11日。"大切な人とシェアしませんか?"とCMで宣伝していた棒菓子。買って机に置いてあったその塩っ気のある棒菓子の箱を開けた。
    「美味しいけど、しょっぱい」
    2人で食べてたらしょっぱいのも甘くなっていたのだろうかと思いながら、いない人間の事を考えしまっていた。
    「やっぱりしょっぱい…」
    今日に限ってシェアも出来ないなんて、なんて塩っ気日なんだろうと思う未夢だった。

    [丸ごといただきます]
    チョコ入りの棒菓子。
    ポキッと音を立てて口の中に消えていく様は、さしずめ吸い込まれていくように見えていた。菓子の甘さは正直苦手で、あっても適宜にしか食べないが、彼女ならばそれごといただきたい。
    強引にかぶりつくようにその口を塞いで、確かめるように舌を突っ込んだ。二チャリと音を立てて、ダラリと口から茶色が溶けて流れた。
    口元に付いて舐めたが、それは甘いミルクチョコの味。
    「あっま…」
    思わず顔を顰めたくなる。
    「…何すんのよいきなり…」
    「何、怒った?」
    ニヤリと口角を上げた。カレンダーは11月11日。だから持って来たんじゃないの?と問えばフイっと知らん顔をした。
    「嘘が下手なんだよバーカ」
    「だ、だからってねぇい、いきなり…」
    「何を今更…あ」
    先程の溶け流れたチョコが彼女の首元に残っていた。拭き取り残したものだろうか。
    今日はやたら、自身の自制が効かないもので困る。
    「か…」
    「んー、動くなよ」
    「ちょ、…んっ…ぁ、い、いや…」
    肩を固定して、ソコに付いたままの茶色を舐めとった。まだ取り切れなくて、キツく吸い上げれば、茶の代わりの赤。
    「取れた…いって」
    流石に頬を叩かれた。
    「な、ななな何すんのよこ、こここんな、め、めだっ、めだ…」
    「ってぇな…今は秋。重ね着すんだから分からないだろ。あとさ…」
    「な、に…」
    「ま、こんなんじゃ足りないから丸ごと貰う」
    「まるご…と…?」
    「だから来たんだろ?そんな菓子わざとらしく持って来てさ」
    持っていた菓子を奪い取り、テーブルの上に放る。
    「だって菓子より甘ったるいものが目の前にあるんだから、勿論丸ごと食べるに決まってるだろ?」

    [VS]
    「しょーぶよ未夢!」
    「よーし負けないよ!」
    昼休みの時間帯。
    女子は朝からコッソリ持ち込んでいた棒菓子のゲームに大盛り上がりだ。男子も悪ノリでやる者もいたが、ホントに口同士を付けてしまって「ぎゃあああ」と水場へ駆け込みに行く人間も。中には芸人よろしくそうなってもゲラゲラ笑っている者もいたが。そんな馬鹿げた雰囲気にはついていけない彷徨は煩いとしか思えず、黙って予習を進める。
    「彷徨機嫌悪いな?」
    「別に」
    「未夢ちゃんとしないの?」
    「バカかしねぇよ。だったら普通に「チューってか!かーっ、まあご馳走様だわ」」
    分かってんなら聞くんじゃねぇよと思いつつ、時々女友達とゲームを楽しみ未夢を見て、ふと去年、花小町邸のパーティでやったチョコ棒ゲームの光景がフラッシュバックしていた。
    (あ?何で…今更…クッソ)
    今頃そんなヤキモキした感じになり、全く情けない自身を締め上げたくなる。同時に、去年の付き合う前とは言え何も思わなかった自身と花小町(眼鏡)に怒りが沸いたのだ。
    ガタンと席を立ち、未夢含む女子陣に近付いた。
    未夢は次の棒菓子を咥えていた。彷徨は未夢の肩を叩いた。
    「ん?」
    振り向いた未夢の口に咥えられていた棒菓子を口に入れて無心で噛み進め、ポキッと折って残った3cm。それを残して顔を離す。未夢は顔を真っ赤に固まり、傍にいた女友達はきゃあきゃあと黄色い声を上げていた。
    「…勝ち」
    それだけ呟いて自分の席へ。三太はポカンとしていた。
    「か…彷徨、どうした突然…俺びっくりした」
    「あー、もう知らん!」
    クラス連中の前に醜態を晒したようなもの。やったらやったで急に恥ずかしくなってしまい、自己嫌悪に陥った。
    でもなんとなく、これで知らん顔していた去年の自分や花小町には勝っただろうと思うしかなかった。
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