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    まれに使う

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    MOURNINGブンニオ没/別に別れ話ではない
    初詣に行く丸仁 仁王は早朝の訪問者に眉を寄せた。冬の朝は空が白く、灰色がかった景色に燃えるような赤が眩しい。その色彩の持ち主であり穏やかな眠りの闖入者である丸井は、ポケットの中に手を突っ込み態とらしく肩をふるわせている。そして、あからさまに不機嫌な仁王を気にも留めず、いい笑顔を浮かべて初詣に行こうなどと宣ったのだった。

     いつまでも玄関を開け放っていては部屋が寒くなるだけだ。扉に手をかけたまま半歩となりに足を動かすと、丸井は勝手知ったるといった様子でリビングの方へと向かっていった。一瞬ぐらりと世界が回転するような感覚に襲われて額に手を当て、それから芯から凍るような寒さを思い出して震える身体を抱きしめる。仁王は血圧が低く朝に弱いのだ。玄関を後にしてリビングに入ると、丸井がストーブを付け炬燵に足を突っ込んでいるのが視界に入った。随分と他人の家でリラックスするものだと感心したが、一人暮らしの仁王の家だからだろう。突然の訪問者ではあるが、茶くらいは出してやろうと電気ケトルに水を注ぐ。自分用にはコーヒーを、丸井用のココアはきらしてしまってから買い足していないので、仕送りのダンボールに入っていたものの未開封のままであった甘いアップルティーを。
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