媚薬? 飲んでやるよ!! 媚薬を20本飲まないと出れない部屋に司書と中里介山は知らぬ間に閉じ込められてしまった。
窓がなく媚薬以外何も置かれていない密閉空間で武器やアルケミストの力も出せずにいた。
中里は司書のためにも一本ずつ媚薬の入った瓶を開けて飲んだが、三本目で体が熱に帯びて頭がクラクラしていた。
「(頭がぼんやりとする。このままでは私は……)」
中里は司書が自分と同じようになってほしくないとやましい気持ちが頭をよぎりながらも司書に注意を促した。
「……司書、君はこれを飲んでは――」
司書の方を振り向くと、媚薬の入った瓶が床に10本も散らばして司書は悠然と飲んでいた。
「美味しい! よくわかりませんがこれを飲むと眠気がなくなります。目が冴えていますし、媚薬っていっても栄養ドリンクと変わりませんね、ハハハ!!」
司書は体に異変もなく、むしろいつもより上機嫌そうで中里は不服そうな表情をうかべた。
「(……なぜ、こうなるのだ)」
中里は肩をぐったりさせて床に膝をついた。様子がおかしい中里に気づくと司書は慌てて駆け寄った。
「介山先生、大丈夫ですか?!」
「……すまない」
「任せてください、私が代わりに全部飲みます! 介山先生は大人しく寝ていてください」
「(……無念)」
と思って中里は静かに眠った。
その後、司書はさっさと媚薬を飲んで、部屋を脱出しました。