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    テレクシオがジレーネとジレーネの弟(後のランバー)とヘクセンに出会った話。

    ##Phantom,lakeside.

    世にも可笑しくて奇妙な三角関係皆がそう呼ぶから、私は自分が籠の鳥…金糸雀(カナリア)だと思っていたけれど、婚約者の話が出た時にどうやらそれより似つかわしいものがあると気づいてしまった。

    大きな翼を持ちながら白鳥のように羽ばたく事も出来ず、生まれる卵も規格外のそれは、※スワン(※神子という意味)にも普通の人間にもなれない半端者…まるで駝鳥(ダチョウ)の様だと。
    そして、残念なことに私は飛べない鳥の唯一の取り柄である【視力】も持ち合わせていないため、それ以下の価値……つまり種馬的役割くらいの存在なのだろう。

    それでも…それでもいい。種に留まらずこの身は肉片から羽1本までこの国に捧げる為にあるのだから。
    そう思っていた。いや、思おうとしていた私を変えてくれたのは活発な女性と、威厳のある男性だった。


    -----------

    「初めまして、テレクシオ様。お会い出来て光栄です!至らぬ点があるかと思いますが、是非これからよろしくお願いします!」

    国が決めた婚約者との顔合わせの日。彼女の明るい声音の挨拶とは裏腹になにかを必死に悟られないようにしている雰囲気が僅かな声の出し方から感じられた。
    ああ、彼女もきっと私と同じ従う道しか残されていないんだろうなと感じたが、その事には触れず私も返事を返した。

    「お会い出来て光栄です、ジレーネ。私も未熟ながら良き夫になれるよう務めたいと思っています。よろしくお願いします。」

    ----------

    それからというもの、ジレーネは面会の度に自分の事や外の世界について色々教えて貰った。
    両親は既におらず年の離れた弟がいる事、能力者養成学校に通ってたこと、そしてそこで出会った旧友であり師弟のような関係にある男性の事。
    男性とは現在ビジネスパートナーのようなものだと彼女は口にするが、少なくともそれだけの感情ではないことは読み取れてしまったが気付かぬ振りをしておこうと思った。

    仕事の関係上、一時期彼女の弟の世話を見ることになった時は話し相手がいてとても充実した日々だった。

    「これって、自分で編まれてるんですか?」

    私の後ろ髪の三つ編みを恐る恐る触りながら少年が尋ねて来たので、編み込み方を彼の髪を使って教えて上げたりした。

    ジレーネが仕事から帰って来た時、ビジネスパートナーらしい男性を連れてきて紹介してくれた。
    連れてこられた男性はとても乗り気には感じなかったが、彼女の圧に押されたのかもしれない。

    婚約者とその弟と仕事仲間と4人でそのまま食事会をした。
    食事中、仕事仲間の男性は話す気などないと言わんばかりに黙々と食事をしているのに対して婚約者の彼女は人一倍話題を出しており、弟もそれに必死に合いの手を入れる様子はまるで本夫と間男の間を取り持つようで気まづそうな顔をしながらも、内心可笑しくて笑うのを必死に堪えていた。彼らにとって、どっちが本夫で間男なのだろうか…少なくとも彼にとっては私が間男なのだろう。

    そんなシュールさが映える食事中、いつものように使用人の1人が目が見えない私を気遣ったのだろう。サッと食べ終えた皿を片付け、別の場所にあったスープのカップの乗った皿を私の目の前に置いてくれた。
    そして私がカップに触れようとしたとき誤って零してしまった。

    彼事、ヘクセンが私の方を睨みつけるような鋭い視線を感じる。

    「目が見えず、お見苦しいところを見せてすみません」

    と謝罪すると、心配して駆け寄ろうとする姉弟をよそにヘクセンは、使用人に声をかけた。

    「……おい、お前はコイツを赤子のように手が届かないと馬鹿にしてるのか?それともあえて失態を晒させたいのか?」

    「…え!?」

    使用人の動揺をよそに彼は話を続けた。

    「こいつは寄せずとも自分で取れるだろう。甘やかすな。視覚はないが触覚はある。……そして、1度触ればその場所に何があるか分かるはずを、お前が勝手な事をするから場所が混乱して今みたいなことが起こる」

    一瞬、自分の中で止まっていた物が動き出すようにぼーっとしていたが「す、すみません……」と焦りながら涙ぐむ使用人の女性を目の当たりにし直ぐに正気に戻り、フォローを入れる。「大丈夫ですよ、いつも気を使ってくれてありがとう」と諭したところで……彼とまた目が合い、鼓動が高鳴った。

    「お前もお前だ。それくらい自分でやるからいいと最初から言え。そいつが今みたいな失態を公の場でしたら処分する役目はお前だ。」

    とても毒舌だ。しかし彼の言う事は的を得ていた。
    目が見えないからと勝手に憐れむなと。そして
    使用人の優しさから言い出せなかった私の行為が、時として使用人の首を切らなくてはいけなくなるリスクがある事。あとは多分、良心が痛むなら、民を本当に守りたいならその先を見て行動しないといけない身分である事をお前は自覚しろと……彼はそう言いたかったのであろう。

    鼓動の高鳴りがどんどん増す。青天の霹靂だった。哀れみの対象にも種馬以外用のないお飾り王子でもなく、国民を守る一国の王子だと思われたのも。

    彼の生き様が格好いいと強く惹かれてしまった。
    ああ、これはどうやら婚約者の彼女と同様にまた私も彼に想いを寄せてしまったのかもしれない。

    こうして、夫と妻と間男の関係はまた拗れてしまったのだった。
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