アシュ→←ビリ「ん〜……」
リビングにあるハンモックに揺られながら、オイラは絶賛考え中だった。議題はどうやってアッシュパイセンのフライドチキンをバレないように盗み食いするか…。冷凍しているフライドチキンの個数を律儀に数えているから、ただもらうだけだとすぐにバレちゃう。
棒付きキャンディを舐めながらゆらゆらと天井を見つめていると、リビングに誰かが入ってきた気配がした。扉の音からして、外から入ってきたみたい。
正体は顔を覗き込まれてすぐに分かった。アッシュパイセンである。何やらこっちをじっと見つめてくるから、同じように見つめ返す。
「……アッシュパイセン」
「んだよ」
「フライドチキン食べても良い?」
「駄目に決まってんだろ」
「うう…こんなに可愛いルーキーがお腹を空かせてるのにっ」
「食いたきゃ買いに行け。ついでに俺の分も買ってこい」
「エエッ!?ならアッシュパイセンが行ってヨー!」
ブーブー文句を言うとアッシュパイセンの目が細くなる。節張った手が伸びてきたと思ったら、口にしていたキャンディの棒を引ったくられた。かなり小さくなったキャンディがそのままアッシュパイセンの口の中に収まる。
「俺が行けっつったら行け。このクソ甘ったるいモンがなくなる前に帰ってこい」
噛んじまうかもしれねぇけどなァ、クク……なんて笑いながらメンター部屋に入って行ったアッシュパイセンをオイラはポカンと見送る。
えっ、なに?アッシュパイセン、キャンディが食べたかったの?
いやいや、だからって僕ちんの食べかけを持って行かなくても…それとも買いに行かせる口実??ていうか…オイラたち、ただのチームメイトだよネ???…俺っちは片思いだけど。アッシュパイセン、なんで??もしかして両思い??あのアッシュパイセンが??僕ちんにラブ??いやいやいや、そんなわけないじゃん。…じゃあ、なんで??
……わ…
「分かんな〜〜〜い!!!!」
思わず叫んだら、メンター部屋から「うるせぇ!」って文句が飛んできた。
誰のせいだと思ってるの!アッシュパイセンの馬鹿!!!