ファミユ・エト・グリモワール【2】最寄駅から徒歩20分
1K、6畳、ユニットバス。部屋は畳張り。
木造のアパートの2階の角部屋。
2階へ上がる階段は鉄製で手すりまで錆びていて、体格の良いモリスが板を踏むたびにギシギシと音を立てて今にも崩れそうだった。
どう見てもボロアパートと呼ぶに相応しい家が、長嶺律の城である。
律は慣れた手つきで鍵を解錠するが、立て付けが悪いのかガタガタと扉を動かしながら開けていた。
数秒待って、ドアを潜った律を追って中に入る際にモリスはチョイと指先をドアに向けて、傾きや歪みを治しておいた。これは律のためではなく、自分があのドアの開け方のコツを学ぶのが面倒であったからだ。
「ここが今日からお前も住む家だ」
「率直に言うけど狭いな」
「金がないんだ。理解しろ」
モリスは廃墟を出た時は太ももまで丈のあるロングブーツを履いていたが、服を変えた際に靴は革靴になっており、簡単に脱ぐことができた。着替えておいてよかったと思う。
別に魔力で消せば良い話なのだが、毎回そうするのは流石に悪魔でも面倒だった。コストもかかるし。
「俺は退魔師の仕事がない時は、夜間警備の仕事をしてる。お前には家事を担当してもらいたい」
「それはわかったけど、とりあえず夫婦ってんならただいまのキスだろ♡」
モリスは律の両頬を手のひらで包み込み、チャームを孕んだ瞳でねっとりと律を見つめる。
律が赤色だと思っていた瞳は近くで見ると、角度を変えているわけでもないのに蠢くように赤、黄色、水色と様々な色が見えて恐ろしいほど美しく、吸い込まれそうだ。
どきり、と律の心臓は露骨に跳ねた。
律は普段粗雑に振る舞っているが、彼女とは性的なことをする前に別れたし、人生をこの悪魔に捧げていたせいでいまだに童貞だ。
モリスは同じ男性である律から見てもとても美しく整った顔だった。ベースの骨格や肉体は男性のものでありながら、目尻の下がった垂れ目や長いウェーブヘアは女性的な魅力も持ち合わせている。
チャームの能力も相俟って律の表情に少しだけ熱が灯る。
モリスの方が10センチ以上身長が高いので、キスをしようとすると自然と律が背伸びをする形になる。体のバランスを取るため、律はモリスの体に腕を回した。
律が背伸びをしても届かないことにもどかしさを感じていると、モリスが体を傾けて唇を合わせてくる。
触れるだけかと思えば、ちゅっと可愛らしいリップ音を立てて吸われた唇が甘く痺れた。
この感覚の大半はモリスにかけられたチャームのせいだということは脳みそではわかっているのに、むしろチャームをかけられているからこそ律は多幸感で満たされた。
こういう恋愛やスキンシップで感じる感覚こそが律の求める普遍的な幸せだった。
「た、ただいま…あと、おかえり」
「ん、今日から世話んなるね」
少女漫画のウブなヒロインのように照れている律とは正反対にモリスは童貞退魔師の生気はやっぱり美味い、と全く別の思考で舌舐めずりをしていた。
ところが、あまりに可愛らしい反応を見てしまったものだからつい揶揄ってしまいたくなった。
「……アンタ、そんなにウブで大丈夫?彼女いた時はキスとかエッチなこととかしなかった?」
「昔の話はするな。そんなことするまもなく別れたし」
律の元カノは学生時代に初めてできた彼女だった。1〜2回一緒に下校しただけでまだ手を繋ぐこともデートもしたことがなかったのに、モリスに全てを奪われたからだった。
ただ、この悪魔はそれすらもわかって質問してるのかと思うとやっぱり腹は立つ。
悪魔というのは得てして腹が立つ存在なので、とりあえずその感情は押し殺しておいた。
「じゃあ本当に初めてなんだ。ファーストキスが悪魔とのご感想は?」
モリスは律に視線を合わせたまま腰を折って顔を覗き込みながら傾げて見せる。
いつもは穴が開きそうなほどモリスのことを見つめてくる真っ黒な瞳は、一瞬モリスから目を逸らして、もう一度見つめてきた
「…………柔らかかった」
あ、こういう時は悪態吐かないんだ。
モリスはこの短時間で律に罵倒され慣れていたので拍子抜けした。
モリスとしては「できれば人間との初が良かった」とか「チャームがかけられた状態で聞かれてもな」とかつれないことを言うもんだと予想していたから、律のその年齢にしてはあまりに少年っぽさがすぎるキスの感想に少しだけ、本当に少しだけ、キュンとくるものを感じてしまった。
いやチャームかけた側が揺り動かされてどうするんだ、と自分をコントロールしようとしたけれど、律の切れ長の鋭い目つきで見つめてくる目元が薄く朱色に染まっているのに気づいてしまった。
あれ、家族を奪われた人間ってこんな可愛い顔するんだっけ?
数百年前に、対立する貴族を滅ぼしてくれと頼まれて一家惨殺、一族を根絶やしにした時はその貴族の方を持つ人間にそれはそれは恨まれた。相手が悪魔という上位存在だろうと、憎しみに囚われた人間は相手を選ばずにそのまま憎悪をのせた瞳で睨みつけてくる。
そういった殺意や恨みを込めた瞳で睨まれたことはままあるけれど、そんなものは特別モリスの心を揺り動かすものではなかった。
じゃあ、これは─
「おい、どうした。そのまま玄関から動かないつもりか?」
律の凜とした声に注意を引き寄せられて、散らばっていた思考をかき集めて意識を戻す。
怪訝そうにモリスを見つめている律の頬はもう普段の血色のない温度を取り戻していた。
「あ…ああ、ごめん。今行く」
「俺はシャワーしてから寝るから。先に寝るなら布団敷いて寝ててくれ」
時間は深夜3時を回っているが、ここの住民は結構騒音に関しては寛大である。
そもそも格安物件にはそれなりの事情がある人間が多く住む。
律もその一人であり、あまりの怪奇音や事件性のありそうな叫び声でもない限り、シャワーや洗濯機の音での苦情は入れたことも入ったこともない。
とはいえ、気にした方が良いのはわかっているので足音はできるだけ鳴らないように畳を歩くようにしている。
律はそっと押入れから畳まれた布団を出して、寝床にしているスペースに置く。
布団を敷くと部屋の大半が寝床になるのだが。
「あー、あの、悪いんだけど悪魔って別に睡眠必要ないしさ。流石に俺がこの布団で寝てたらアンタどこで寝るの」
「一緒の布団に潜り込んで寝るけど」
「や、狭いでしょ……」
律の視線が一瞬布団に向けられ、モリスに向き直る。
その一瞬で律が何を考えたかと言われたら、モリスにはなんとなく予想がついていた。
「夫婦は一緒に寝るもんだろ」
「はあ……わかった。一緒に寝たいんなら寝るよ。ほら、シャワー行くならさっさと行きな」
なんだか呆れられているような、馬鹿にされているような反応に律は少し不服だったが、要求を拒まれたわけではないので大人しくシャワーで血の匂いを落としに行く。
脱衣所で血が飛んだ服を脱ぎ、風呂場に放り込む。あとは洗濯用の石鹸と、風呂桶。
律の懐が裕福であれば、1着くらい汚れたら捨てれば良いのかもしれないが、たかが鶏の返り血が少しついた程度のまだ着られる服を捨てることはできなかった。
パタン、と風呂場の引き戸を閉める。
ひんやりと冷たい風呂場の空気が自分のさっきまでの熱に浮かされたような思考と感情を思い出させてくる。
だって、あれはチャームのせいだから。
初めてだったから。
そうやって理由をつけて自分の感情を遠ざけておかないと、あの悪魔につけ込まれている感じがして悔しかった。
でも、あの時感じた幸福感こそが自分の求めるものなのだ。
律は自分を愛してくれる人はおらず、自分が愛する人もいなかったから不幸なのだと思っていた。幸福とは人と愛し合うことから得られる、そう思って生きてきた。
じわり、とまた頬が熱を帯びる。
律はその熱を外に追いやるように冷たい壁に体を預けて、風呂場に座り込む。
無意識に、さっき吸われた自分の唇を指でゆっくりとなぞった。
自分の指はカサついていて、しかも少し鉄臭くて最悪だったが、ある意味それのおかげで多少の冷静さを取り戻すことができた。
「後でもう一回確かめないとな……」
律はこの風呂場に鏡がなくてよかったとはじめて格安賃貸に感謝した。
きっと今の自分の顔なんて見たら自分のことを嫌いになるだろう。元から好きでもないけれど。
考えるのを止めるために、まだ温まりきっていないシャワーを頭から被り、そのまま服を洗濯し始める。
床に流れていく薄い赤褐色に色づいた水を見ていると不思議と、いろんなことに対する感情も流れていくような気がした。
排水溝の水の流れが滞っているのを見て、洗濯ネットの替えを買ってこなければいけないことも思い出した。
鶏なんて必要なかったんだ、と気づいたのは全てが一段落ついてからだった。
*
一方モリスは寝ていて良いと言われたものの、睡眠とは無縁の体のため、暇を持て合していた。
シチュエーションが揃っていれば、布団が敷かれていて新婚夫婦のダンナ様がシャワーを浴びているという状態はいわゆる夜の営みの合図だと思うのだが、今回に関しては全くそんなことはない。
とにかく律は夫婦らしさ、家族らしさ、一般的な幸せを追い求めている。
家事を任されていることを踏まえると、この家のいろいろなものを把握する必要がある。
モリスは手始めに冷蔵庫に目を向けた。
モリスの腰ほどの背丈しかない一人暮らし向けの冷蔵庫は、今は統合されてなくなった企業のものだった。作りやデザインからして古いものを中古で買ったのだろう。
しっかりと動いてはいるものの、中を開けてみれば水のペットボトルとコンビニの小袋がポツンと入れられているだけだった。中身はどうやらおにぎりらしい。
まともな食生活を送っていなさそうなのは、キッチンの使われてなさを見ても間違いないだろう。いくつか置きっぱなしになっているカップ麺やコンビニ、チェーン店のプラスチック容器はキッチンのすぐそこに置いてあるゴミ袋に直行するものらしい。
ゴミ箱にゴミ袋をセットする、という手間すら惜しんでいるところを見るとなんとも言えない気持ちになる。
「これはちょっと……ゴミ箱くらい買えよ」
比較的綺麗好きであるモリスは、パチンと指を鳴らすとすぐに新品のゴミ箱2種類を用意し、自分の服もバッチリきまったスーツから、適当なゆるいシルエットのスウェットのような部屋着に変える。
ゴミ箱はもちろん燃えるゴミ用と缶・ビン・ペットボトル用だ。
綺麗好きならではのこだわりで、ゴミの臭いが漏れにくくなっているものになっている。
これならゴミも捨てやすく、ゴミ袋のセットもやりやすい。何より部屋で生活していて視界にゴミが入らない。完璧だ。
深夜4時に差し掛かろうという時間だというのに、モリスは熱心にキッチンを片付け始めてしまっていた。本人にあまり自覚はないが、モリスは元来凝り性である。
ゴミ箱を設置し、キッチンに放置されていたゴミを地域の分別に合わせて放り込んでいく。
騒音が許される時間帯になったら絶対に掃除機をかけてやる、と半ばヤケクソで意気込んだもののこの家は掃除機はあるんだろうか。
まさか箒と塵取りと雑巾で掃除していることはあるまい……と思ったが、何事においても律はモリスの予想を上回ってくる。
最悪の想定もしておかねばならない。
別に掃除に魔力を使っても良いのだが、この程度のことに使うのはコスパが悪すぎる。
数百年もの間、移り変わる人間社会に合わせて生きてきたモリスにとっては、逐一人間に合わせて家事をする程度のことはなんら苦ではなかった。
結果として、律のパートナー選びは正しく、与えた役割も適任だったのだ。
もともとそこまで量が多くなかったので全て片付け終えても20分ほどしか経っていなかった。
ふと、冷蔵庫のおにぎりの存在を思い出す。
「ひょっとしてアレ晩飯じゃないだろうな…まさか持っていくの忘れて食ってないのか?」
完全に陽が落ちて、モリスに召喚がかかったのはもう夜中と言っていい22時やそこらの時間帯だったはずだ。そこからしばらく召喚に応じるのを渋っていたので、事前に食べてきていないのであれば飯を食うタイミングを逃していることになる。
モリスは誇張表現抜きで何も入っていない冷蔵庫とついでに掃除したガスコンロを交互に見つめながらパチンと指を鳴らした。
「はぁ。作るか、夜食」
とはいえ、炊飯器もなければ調理道具もない。掃除で出し惜しみした分の魔力はこちらに割くことに決めた。
目の前には一通りの調理器具、調理家電と米、卵、鶏肉。今回はちゃんと食肉加工済みである。
「人間が同じことやろうとすると、朝を待ってから買いに行かなきゃならないってんだから面倒だよなあ」
独り言を呟きながら、もう一度パチンと指を鳴らしてメニュー通りに作るよう指示を出し、食材を適切に調理させていく。
律の体の薄さでは多分少食かつ、あまりカロリーの高い重たいものはキツいだろうと思い、メニューは鶏肉入りのたまご雑炊にした。
魔力でコントロールされた包丁は勝手に食材を切り、まな板が浮いて中身を鍋に移す。鍋やお玉が自在に動き、ガスコンロの火加減も勝手に調節される。
ほかほかと湯気を立てて、たまご雑炊は完成した。調理器具が浮遊する力を失ってキッチンにことりと落ちる。
それと同時にバスルームから律が出てきた。
「お、良いタイミング。夜食作ったけど、食えそう?」
「………食べる」
律は一瞬目を見開き、モリスが料理をしていたことに驚いていたが、律本人が返事をするよりも先に腹が鳴る音が意思表示をしていた。
その顔は廃墟で出会った時とは打って変わって、この部屋に来た時と同じような子供らしさが見てとれた。もしかしたら両親が生きていた頃にこういう経験をしていないのかもしれない。
だとしてもモリスには関係ないことだけれど。
律がどう考えても高さの合っていない折りたたみ式のテーブルを出し、その上に木製のスプーンと卵雑炊の入った丼を置く。
スンスンと匂いを嗅いだかと思うと、しっかりと「いただきます」と手を合わせてたまご雑炊に手をつけた。
雑炊を提供した時点で手持ち無沙汰になったモリスは敷かれた布団の上に腰を下ろす。
「アンタさ、ちゃんと飯食ってんの?」
「食ってる時は食ってるよ」
「じゃあ今日は?」
「忘れた」
「人間が三大欲求をそう簡単に忘れるかよ」
「違う。飯を持ってくのを忘れたんだ」
ああやっぱりか、とモリスは冷蔵庫の中のコンビニおにぎりを思い出した。
それにしたって成人男性の夕食がコンビニ食なのはまだしも、おにぎりが2つや3つで足りるものなのか。
「もう少しボリュームあるものの方が良かった?」
「ン、いや。十分足りてる。美味い。ありがとう」
「どーいたしまして」
律は会話も忘れてたまご雑炊を黙々と食べ続けていたところに話しかけられて、一生懸命口の中に入ったものを咀嚼してから返事をした。
夢中になってがっついてしまったのは恥ずかしいが、お腹が空いていたのと最近食べたものの中で一番美味しかったからだ。
そして、玄関でキスした時と似た多幸感。幸福であるという点は同じだけれどもっと暖かくて優しい幸せを感じた。
「お前、料理できるんだな」
「あー、これは俺の魔力で作ったからなんとも。悪魔は人間の食事は必要ないし、作ろうと思えば作れるだろうけど」
広義で見れば自分で作ったことには変わりないが、自分が作ったのだと自慢するのもなんだか納得がいかなかった。
律はぺろりとたまご雑炊を食べ切って「ごちそうさま」と手を合わせてから口を開いた。
「じゃあ次から手作りしてくれ」
「はぁッ!?!作っただけ感謝しろよ!?」
「感謝はしてる。ただ、魔力に頼らない方が嬉しいだけだ」
食べ終わった食器を流しに持って行き、よれのれのスポンジで洗いながら、律の目が横の新設されたゴミ箱に留まる。やっとゴミが片付けられたことに気がついたらしい。
「料理以外にも色々やってくれたんだな」
「まあね。アンタん家何もなかったし、汚かったし」
「今日のためにドタバタしてたんだ。いつもはもう少し綺麗にしてる」
本当か?とモリスは疑念を抱かずにはいられなかった。
*
律は流しでの作業を終え、モリスの座っている布団の横に腰を下ろして話をする姿勢をとった。
普段他者と深く関わらないでいる律は、相手が悪魔だろうが人とのコミュニケーションに不安を抱えていた。
これから夫婦として生活していく相手であるならば尚更だ。かといってそれを苦手だから放置する、というのも律の本意ではない。
「今日お前を召喚したこと、契約したことに後悔はない。むしろ、今までにないくらい幸せだと思う」
「満足した?」
「するか馬鹿。まだまだ足りない。でも、一つ確かめたいことがある」
モリスは話を聞きながら「なぁんだ」とつまらなさそうな相槌を打つが、表情は悪魔とは思えないほど穏やかなものだった。
「確かめたいことって?」
「俺がお前を好きかどうか」
律がモリスを口説いているわけでもなく、ふざけているわけでもないのはモリスにも理解できた。
ただ召喚された当初は今にも自分に襲いかかってきそうなほどの殺意を見せていた相手が、たった数時間でこんなに絆されるものなのかと不思議に思っただけだった。
「どうやって確かめる?」
「……もう一回キス、してみたい」
「そのくらいならお安い御用だな。じゃあこれはおやすみのキスってことで」
モリスは不敵に微笑むと、自分を見つめる律を布団に寝るように指示して自分も狭い布団の片側に横たわる。
そういえば律は自分のことをよく見つめているな、と黒曜石のように真っ黒で景色を反射する瞳を目を細めて見つめ返した。
魔力で電気を消して、瞳と同じように真っ黒な髪を数回撫でてから唇を優しくくっつけた。
今回はチャームは使わないでおいた。
「おやすみ。確かめられたかどうかは明日聞くよ」
「おやすみ……どっか行くんじゃ、ないぞ……」
キスをしてからも何度か頭を撫でていると、目に見えて疲れていた律はすぐに眠りについた。
キスした時やご飯を食べていた時と同じく、寝ている時の顔は子供のようにあどけない。
自分に親を殺されて家庭が崩壊してから、きっと律の精神は成長を止めてしまったのだろう。
外聞を取り繕うことはできても、気を抜くとその精神の幼い部分が出てきてしまうらしい。
むしろあの口の悪さは自分の幼さを隠すための隠れ蓑なのかもしれない。
モリスは横になりはすれど一向に訪れることのない眠気を、これからこの生活を続けて行くにはどうすべきか、律が自分に本気になったらどうすれば良いのか、そしてこれからどうなっていくのかなど思考を巡らせることでやり過ごした。
律に愛着が湧き始めている自分の心には一旦、そっと蓋をして見ないふりをした。