5戦目★好きなもの、最初に食べるか、最後に食べるか旅人四名が集う草原には青葉の香りと花々の香り、そしてふんわり砂糖菓子の甘い香り。
「ーーーーっっっ!!!」
そんな御伽噺の一節をぶち壊したのはピクの愕然の叫びだった。
三分の一程ぽっかりと齧られた焼き菓子を前に愕然としたピクは隣で元三分の一を咀嚼する安原をキッと睨みつける。
「信じられない!一番ラズベリーが入ってるところ一口で食べたよこの男!!」
「お前が食わせたんだろうが。そもそも食べてみろってしつこかったのはそっちじゃないか?」
「遠慮ってものがあるだろう?!」
指差しなじり罵倒する、いつもの小競り合いを平と新は焼き菓子をちまちま食べながらまた始まったねとのんびり眺めていた。
――事の発端は数分前、平と新が穏やかな午後を過ごしていた頃に愛車のオープンカーと共にピクが二人に会いに来た。
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