カレの攻略法 吊り目がちなオッドアイに柔らかそうな茶色い猫っ毛。友人の家でたった一度顔を合わせただけのこの少年を、バイト先で見かけるようになったのは働き始めて半年ほど経った頃のこと。始めのうちはシフトの関係でたまたま遭遇しなかっただけとも考えたが、予想に反して週に2,3度というそれなりの頻度で彼はサニーが働くゲームセンターに姿を見せていた。
お目当てはどうやら最新のリズムゲームのようで、確かにあの筐体は設置店も限られていたはずだから、それなら急に見かけるようになったことにも合点がいく。ランキング画面に名前が載る程の実力者であるから腕前もなかなかのもの。ここまでなら常連客がひとり増えたくらいで終わる話なのだが、彼がやって来る度にサニーには気まずく感じてしまう理由があった。知り合いが来たとかならともかく、一度挨拶したきりの友人の弟なんてほぼほぼ他人のはずだというのに。
3753