きたぜ相馬!!!「あ!今年も走るん?」
小高が広告を指さして言った。
「相馬野馬追号?うん。走るよ!」
「まぁ、これが南相馬のビッグイベントだしねぇ。相馬とか泣いてるんじゃねーの?」
「はっはは!多分ね。」
「始まりは小高も含まれるでしょ?」
「なら、美味しいとこはぜーんぶ原町区が取ってんじゃんか!」
「はいはい。あ、でよ。出陣式、今年も小高区は任せたよ!桃内と言葉考えておいて!」
「……はぁ!?今年もかよ!お前が来るんじゃないのかよ!」
「私と相馬が執行委員だか無理に決まってるでしょ!はい文句言わない!」
「やったなぁ。臨時!いわき市はー……今年も勿来、いず、湯本、で、うちか。」
「え!本当?湯本来た!!」
「まぁ、私、湯本といわきは基本全停車だしね。勿来も良かったね。」
「はいぃいい!!私も野馬追見に行きたいです!」
「あ、乗る側なんだね。」
いわきはそう聞くと、パソコンを少しいじって画面を見せた。
「あ、予定?……おぉ?」
「……運行日、南相馬凄い事になってるよ……?」
「全員休み……。」
「あれやろ、皆執行委員に回されて、仕事に出れないからやろ。小高とか桃内は初日から大仕事やしねぇ。」
「あー、そっか。じゃあこっちは休んで見れはしないかな。」
「日にち分けりゃあ見れると思うけどな。」
「…………宮城に回す気はないでしょうねー。皆様方?」
後ろを向くと、新地がニコニコと。駒ヶ嶺はおろおろとしながらも立っていた。
「南相馬が空くし、観光で何駅か休む。ってなるとー、空きの駅は誰がみるのか。って話?」
「そうそう。生憎だけど、私達の方から特急は走らないからね。多分そっちに回される運命が見えるよ……。」
「私は一応入れますけど、やっぱり、この日はシフト的に宮城に応援入れないと足りないので……。」
「例年はこんながっぽり穴が空くことは無かったと思うんけどな?」
「皆2日目に休み取るからでしょ?もうちょっと、事前に話して貰えたら嬉しいんだけど。こればっかりはしょうがないよね」
新地は腕を組んで言った。まぁ、祭りも大詰めになる二日目に人が居なくなるのは、北側……。つまり、新地町以北は大変になってしまう。
「まぁ、その前に仙台の方も七夕行事でちょいと居なくなるやんか。」
「あれ、仙台市しか休めないんだよ?あとは皆隙を狙って来てるって坂元とか、亘理とか。」
「へー。あっちもあっちで大変な事。」
「あー!じゃあ、また残ったやつでシフト組まなあかんやん!新地、明日空いとる?宮城の方も何人か集めてさぁ。」
「亘理居た方がいい?あの子凄い機嫌悪いよ。仙台支社も水戸支社の仮予定見たっぽいし。」
「あの有給の嵐を?」
「なら亘理さんも怒りますよね……。」
「連れてきて。坂元にでも頼んでさ。亘理郡おらんと困るからな。」
「あーいよ。」
新地はそう答えて、駒ヶ嶺を連れて部屋を出た。
「あーーーもう!なんでや!なんでいぎなり有給取るんだっちゃ!多過ぎ!」
「亘理諦めて!方言出ちゃってるから!」
「うっるせー……。」
「でも、亘理ちゃんの言い分も分かりますよ。あはは……。」
「流石にこれはやばいよな……俺の定休消えたわ……。ひでぇよ……。」
「ほんと。ここで私達出すのね。私の休みもないよ」
長町が印刷された予定表を見て言った。
「こう見えても私も仕事の休み無いんですよーせんぱーい!!」
「あれ?本当だ。仙台〈あんた〉の所暇なイメージあった。」
「ほんとそれな。何すんの?」
「原ノ町周辺の交通整理をね。」
皆がおー。と声を上げた。
「やー、仙台支社だいぶ駆り出されてたんだね。」
「七夕の時は休みあんま無かったくない?」
長町がそう言うと、皆黙り込んだ。
「確かに……」
「無かった……普通に仕事してた……」
「俺らは仕事中に見に行ったし……
「私は仕事終わりにみなみちゃんと……」
「私だって剣技終わったら午後から仕事だった……。」
「…………」
「水戸支社ぁぁああ!!」
「てなことで仙台に文句を言われまして。」
「しょうがないさ。仙台の方は休みに敏感なんやし。」
「てかいつのまにいわき?」
「皆さんの練習風景を見たくてな。」
「まーまー……。ならさっきから呪詛みたいなの唱えながらやってる原ノ町と太田を見てやってよ」
小高は水を飲んで、原ノ町達がいる方を指さした。
「2人とも不味いんか?」
「不味いって言うかさ、流れ山だし。」
「猶予がなひんでふ……っぐ!」
「食べながら話さない。私達は踊りだから、ね。桃内も私もちっちゃい頃からやってたけど。」
「……っぐ。太田かな?原ノ町も昔からやってたけど。太田は結構遅れてここに来たから、流れ山あんまやってきてなかったから大変なんじゃ?」
「まー原ノ町もあんまり器楽は得意じゃないつってたけど、その割には上手いしね。太田も形にはなってるし。」
「そうなんか。じゃ、うちは練習頑張ってるお二人さんに会いに行きますわ、じゃーな。」
いわきは立ち上がり、原ノ町のいる方へ向かっていった。
「来たねー本番!」
「私はお前みたいに呑気になれねぇよ……。」
小高はスピーチの原稿とにらめっこしながら答えた。
「まー、落ち着きなって。キミはやればできるんだから。」
「はいはい分かったよ……。……あ、そういえばよ、今年もあれやんの?」
「ん?バレた?おーい!皆、かもーん!」
私が手を降ると、南相馬の皆と、相馬、日立木が来た。
「小高!」
「もうこの流れも何回目なんでしょうかね。」
「ははーん、小高の年一度の緊張姿〜写真撮ろ。」
「ねーねー、早くあれしよー!」
「あれですね!」
皆わいわいしながら話している。
「小高ー。早く来てー。」
桃内が小高の所まで来て、手を引っ張り、引きずって来た。
「はいはい。分かったよ。」
そして、皆が輪になるように集まった。
「それでは、お手を出してくださーい。」
「あいよ。」
皆か片手を出した。私は大きく、息をしっかり吸って、叫んだ。
「今年も。……来たぜ!」
「「「「「「「相馬!」」」」」」」