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    Osuwald_Lucky

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    五等分の主様(かきかけ)
    メイドカリムさん編
    (ほぼ、スケベ要素はありません)

    ナイトレイブンカレッジ、実験室。
    俺はクルーウェル先生に緊急で呼び出されいた。急いで階段を駆け上がり、扉を開ける。
    そこには俺のよく知る主人がいた。

    「あっ!!悪いジャミル〜なんか、魔法薬のせいで増えちまった…!」

    「………!」

    頭をポリポリとかく俺の主人。カリム・アルアジーム。
    今日も今日とて、俺の主人は問題を起こしたのだった。もはやお前のユニーク魔法は、トラブルメイカーとでも言った方がいいんじゃないか?
    心の中で悪態をつく。

    そして、目の前の地獄のような光景を見て俺は何も言えなくなった。

    「……………!!」

    なんなんだ!これは!どうすればいいんだ!?
    頭の中で自問自答を繰り返した。とにかく事情聴取しなければいけないだろう。

    「あっ!じゃみるだ!いつもよりおとなっぽくみえるぜ!!」

    舌足らずで無邪気に笑う子ども。

    「案外早かったなぁ〜。やっぱりジャミルは偉いぞ。」

    今よりも少しだけ顔や身体が成熟した大人。

    「フン。甘やかしすぎだ。おい!ジャミル、モタモタするな!もっと早く来い!」

    いかにも不機嫌で気難しい暴君。

    「お待ちしておりました。ご主人様。」

    無表情、自我が希薄そうな…似つかわしくない敬語を喋るメイド。
    …いや何でメイドなんだ!?

    〜〜ああもう!一斉に喋るんじゃない!ただでさえ叩きつけられた現実に混乱しているというのに…。
    そして騒動の現況である、“いつもの主人”はこう宣ったのだ。

    「あ〜うん、見ての通り“オレ含めてオレが5人”になっちまったんだよなぁ〜」

    つまりは、子供のカリム。大人のカリム。件のホリデーで俺の洗脳魔法をかけた時のような、情緒不安定で暴君なカリム。そして、洗脳魔法をかけた時のデフォルト…従順かつ絶対服従になった時のような敬語のカリム…。

    それらがカリムの魔法薬実験の失敗によって生み出されてしまったらしいのだ。

    ───

    「よく来たな。子犬。まぁ座れ。」
    白と黒のツートンカラー。その、髪色の教師は、呆れ顔で実験室の椅子を指さす。

    「──お前も苦労するな。」

    「ええ、ほんとに。」

    ため息をついて、教師に相槌をうつ。

    「それであの状態はなんなんですか?」

    すぐ隣には、何やらぎゃあぎゃあと騒いでいる五人のカリム。

    「俺にも分からん。が、今回作ろうとした魔法薬はこんな効果を引き出すものでは……」

    「へ〜。子どもの頃のオレってこんなだっけか〜。なんだか兄弟が増えたみたいだ!!」

    「わ〜やめろって〜くすぐったい!」

    「こぉら。お前たち、クルーウェルの話を聞いといたほうがいいぜ。」

    「小煩いな。年増は。」

    「としまッ!?」

    「………。」

    その後もカリム達は、他愛なく笑い声が続き、たまに何かを言い争ったり…とにかく騒々しかった。
    クルーウェル先生の額にぴきぴきと青筋が浮き出ている。

    「ええい!このバッドボーイどもが!少しは静かに出来んのか!!」

    「「「うおっ!?」」」「チッ…」「…。」

    流石のクルーウェル先生の一喝には逆らえないのか全員が静かに着席した。

    「…話を戻す。」

    クルーウェル先生の見立てでは、すぐに命に関わる話ではないらしい。しかし、経過観察すべき問題であること。本来の魔法薬であれば五日程度で効果が消えるらしい。

    とにかく、そこに置いておくわけにもいかず、五人のカリムを寮に連れ帰ることにした。


    「本物のカリム以外は、ひとまず寮で待機していてくれないか。空き部屋を用意するから。」

    「本物とは何だ。」
    「オレたち、にせものじゃないぜ!」
    「え〜、せっかくだし、学園を見て回ろうかと思ったのに…」
    「…承知致しました。」


    俺が妥協案を出すと1人を除いて、口々に異議を出すカリム達。

    「カリム・アルアジームが何人もいたら、混乱する人間が出てくるだろうし、お前らがおかしな行動をとって、“カリム”に被害が出たら困るんだよ。」

    既にここに来るまでに何人もの生徒に遭遇し、ぎょっとした顔で見られた。
    いちいち説明するのも面倒だったが魔法薬の実験の失敗だと言うとさすがに察してくれた。


    「みんな、すまん!おとなしくして置いてくれ!」

    「その代わり、今日の夜は、みんなと寮で宴をしよっ…むぐっ…」
    結局のところ、こいつが一番大人しくない。多動性の生物め…。
    言いかけたカリムの口を塞ぐ。誰が準備すると思っているんだ。ふざけるなよ。

    「今日の夜はこの事実を知らない寮生に伝えておかなければならないだろう?
    とてもじゃないが宴なんてできるわけない。」

    「え〜でもなぁ…」
    食い下がるカリムに強く言い聞かせる。ほんとに強情だ。

    「カリムッ!」
    大きな声を出すとさすがのカリムもビクリと肩が震えた。
    「…分かったな?」
    冷徹にカリムの要望を跳ね除ける。もう遠慮なんてしない。その後、こくりとカリムは頷いた。

    「繰り返しになるが、お前たち、くれぐれも問題行動を起こすなよ!!」

    カリム、一人だけでも大変なのに五人も増えられて、各々が自由気ままに行動するとどういうことになるか…。
    頼むから、本当に大人しくしていてくれ!


    とまぁ……虚しくもそんな俺の願いは、聞き届けられなかった訳だが…。

    ───

    なんだかんだと大騒ぎになったりしたものの、ひとまず部屋にカリム達を押し込めた。

    …が、たった一人。一番ツッコミを入れなければならない奴がいるだろう…。

    「おい、お前…。聞いてもいいか?」
    「はい?如何されましたか?ご主人様。」

    普段の明るいガーネットが、濁り、虚ろな瞳で、俺を見上げる。

    そいつは靴やらガーターベルトやらワンピースやらフリルエプロンに頭のヘッドドレスまで…どこからどう見ても女性用の使用人服を着用している。つまりはメイド姿のカリム・アルアジーム。
    カリムは、男にしては小柄な方だとはいえ、体つきは少年相応だし、お世辞にも似合っているとは言えない。というか、こんな格好をさせていてはアジーム家の品位に関わる。

    そして…なぜ、メイド姿なのか?似合わない敬語で俺をご主人様と呼ぶのか。更にあえていうならそのスカートは丈が短すぎる…。それじゃあ、ちょっと動いただけでその奥まで見えてしまう…。違う、それはどうでもいい。まさかとは思うが、女性用下着を履いているのか…?いやそうじゃなくて…。スカートと白のガーターベルトの間から見える褐色肌が、艶めかし見え…

    違うっっっ。頭の中で、余計なことを考える自分を霧散させようとする。
    落ち着け、カリムだぞ?ちょっと普段はしないような格好で女性よりになっただけでおかしな感情を持つな!!冷静になれっ!!

    「ご主人様…?」
    メイドカリムが口を開く。
    その声にハッとする。そうだ、今の疑問を尋ねようとしたんだった。
    「ええと、

    …スカートの中身はどうなっている…?」

    って!?違うそうじゃないっ!!俺は何を聞いているんだッ!?

    「スカートです…「違う!!言い間違えた!!」か?」

    改めて言い直す。

    「なんでメイド服を来ているんだ?
    あと、俺をご主人様と呼ぶ理由を教えてくれないか?」

    「…この服はご主人様がお好きだと思ったからです。それにご主人様はご主人様でございます。
    オレは貴方様の忠実な下僕です。」

    「お望みなら、どのようなことでも致します。なんなりとお申し付け下さい。」
    カリムはそう言うとぺこりと頭を下げた。

    ……?
    言葉が出ない。メイド服なんて好きではないが…?いや、確かに俺は上下関係は好きだ。特に、他者を従わせて、自分の言いなりにするのは愉悦を感じる…。そんな後暗い願望を叶えるように、俺のユニーク魔法は、他者を意のままに操る魔法なのだが…。

    虚ろな目は、俺のユニーク魔法にかかった時のカリムを思わせる。

    「…やはり、お前は…そういう…。」
    「ご主人様、どうぞご命令を。」

    熟考する。こいつに与える命令なんて一つしかない。

    「…とりあえず、何もしないでくれ。」

    俺がそういうと少しだけ、そいつは、目を伏せた。しかしすぐに無表情に戻り、

    「承知致しました。」

    淡々と述べた。

    ───

    いつものように、カリムの食事を作る。違うことが、あるとすれば、量が五倍になったことだ。
    いや、俺の分も含めれば六人分か…。
    カリムの突発的な宴の準備に、比べたらマシな方だが、普段よりも多めに作らなければいけないとなると、げんなりした気持ちになる。とはいえ、これも仕事だ。
    気持ちを切り替えるように、野菜の皮を向き、切り刻む。豆をペースト状にする。肉を串に指して焼く。一般的な熱砂料理だ。

    「やっぱりジャミルの飯は美味いな!それにみんなで食べる飯は格別だな!」
    「それ、オレももっとたべたい〜」
    「この、人の分まで取るなっ!!」
    「お、じゃあオレのを分けてやるからな〜」

    わいわいと賑やかなカリム達。騒々しいが俺の手料理を取り合っている様は、なかなか悪くない。…だがそんな会話にも入らず、一歩引いたところにメイドカリムがいた。
    食事にも手をつけず、ぼんやりとした顔でいる。そしてちょこんと座っているだけだった。

    「おい、お前、食べないのか?」
    「……ご主人様に何もするなと仰せつかっております。」

    まさか、こいつ昼に命じたことをずっと守っているのか?
    そういえば食事の時間に、呼びに行ってみれば、部屋でじっと座っていただけだった。
    他のカリムは、それなりに苦労させられたが、メイドカリムだけはやけに、おとなしい。

    もしやと思い、声をかける。
    「俺が食べろと言ったら、食べるのか?」
    「はい。」

    ああ、つまり、本当に俺が、命じたことしか、しない。できないのか。やりにくさを感じながらも食事を促す。

    「分かった。食べてくれ。食器が片付かない。」
    「はい。」


    そう言ってメイドカリムは、少しずつ手を付け始めた。

    「何もしないでくれって言ったのは、言葉の綾だ。何もされ無さすぎても困る。」

    「では、オレは何をすれば…?」

    「最低限、日常生活が送れるレベルには行動してくれ…。
    俺の迷惑にならなければ、好きなことをしても構わない。」

    「…好きなこと。」

    カリムの目線が下がった。雛が啄むように食事をしている。

    「お、食べてるじゃないか!」

    「どうだ?ジャミルの飯は美味いだろ?」

    いつの間にか、メイドカリムの隣に普段のカリムがいた。
    メイドカリムは少し戸惑うように、けれど意を決した面持ちで口を開いた。

    「……。はい、とても、美味しいです。」

    …そして、ふわりと顔を綻ばせた。

    今まで、無表情だったが表情が変わると…。
    そうか、あいつ、あんな顔もできるのか…。

    ───

    当然料理を作れば、それを用意した調理器具や皿を洗う時間が発生する。厨房の…少し多めの積み重なった皿を見やる。
    「よし、やるか。」

    「ご主人様。」

    「うぉっ」
    音もなく後ろに立っていたメイドのカリム。たまに、あいつは異様に気配を消すのが上手い時があるが、そんなところは共通していなくていい。驚いたことを隠すように問いかける。

    「何の用だ?」
    「あの…オレにも皿洗いを手伝わせていただきたいのです。」

    「は?」

    意外な申し出に再び驚く。

    そういえば昔、カリムは、俺の仕事を手伝いたがったことがあった。
    どうしてもと懇願するカリムに仕方なくやらせたら、俺の親に見つかった。
    「こらっ!ジャミル!!カリム様になんてことさせてるの!」
    …なんて怒られたことがあった。
    カリムがやりたがったからなのに…子供ながらに理不尽を覚えた。そんな状況でも、記憶の中のカリムは笑っていた。俺の理不尽とその顔はいつもセットだった。いつも忌々しく感じた。

    それから、時は経ち、NRCに編入してきた頃もカリムは俺の仕事を手伝いたがった。

    「オレたちここでは、生徒同士なんだし助け合っていこうぜ。」

    しかし、前述した記憶が蘇り、その要求を跳ね除けた。

    「いや、いい。俺の仕事だから、お前に何かあったら困るんだよ。」

    その後も、些細なことはやりたがったが…。

    「そうだ!アイス持ってきてやるよ!」
    「馬鹿!主人に給仕させるやつがあるか!」

    振り返って思い出す。やはり、皿洗いをさせるなんて以ての外だ。

    「いや、いい。俺がしておくから…」

    「ご主人様は、オレが好きなことをしてもいいと仰いました。
    オレは、ご主人様に奉仕したいです。」

    しまった。そんなことを許可した気がする。

    「だめだ。主人にそんなことさせられるか。」

    「いいえ、今のオレは、ご主人様の下僕です。」

    押し問答のような形になる。ダメ、やりたい、ダメ。俺が許可したばかりに、普段の強情なカリムに近づいたのだろうか?

    「…!それでも、お前がカリムなんだとしたら、ろくな事にならないんだよ!」

    「今回だってそうだ!実験に失敗して!厨房だって爆発させたことがあっただろう?火を使って火傷をしたし、包丁で指を切った!
    そのせいで俺がどれだけ、迷惑しているか!!」

    強い言葉で捲したてる。今までの恨みをぶつけるように、ただひたすらに言葉の凶器で刺す。

    「お前は…!」

    「……その通りです。」

    続けようとした言葉が遮られる。

    「……オレは、いつも…そうです。ご主人様の負担を軽くしたい。お手伝いがしたいと思っても上手くいかない。不器用でご主人様の迷惑になる。」

    感情のない顔で…でもどこか…悲しげに…。

    「いつもなら、笑って誤魔化せるのに…。」

    目が揺れる。


    「いまはそれが…出来ませんっ。

    ご主人様は…オレが嫌いで…!オレの笑った顔が嫌いだから…!」

    絞り出すように…

    「…どう…すればよろしいですか…?
    ご主人様…!」

    表情が大きくは変わらないものの
    涙袋に一つの粒が見えた。

    どうすればいいか…?
    いつものカリムの笑顔を思い出す。
    なんで、あの時笑顔だったのかを。

    そうだ、俺の親に怒られそうになった時も…!
    険悪な雰囲気になったのを悟ってか、
    カリムは…。

    「ジャミルの母ちゃん!ジャミルをあんまり怒らないでやってくれ!オレがどうしてもやりたいって言ったんだ。ジャミルって凄いんだぜ!

    俺と同じ歳なのになんでもできるんだ。
    オレ、あんまり上手くできなかったけど、ジャミルが教えてくれたからできたんだ!」

    いつも笑顔で、場を和ませようとしていたんだ。

    俺は、あいつがなんでいつも笑っていたかなんて気づかなかった。気付こうとしてこなかった。だってそれは俺の理不尽と一緒にあったから。

    …ああ、そうだな。俺が笑えなくしたんだ。
    俺がこいつが笑っている姿を忌々しく思ったから、それで…命じた。

    「お前のへらへらしている顔を見ると虫酸が走るんだよ。笑うな。余計なことを喋るな。」

    最初に洗脳した時、そんな事を言った気がする。その時のことを覚えてはいないだろうけれど。
    そして件のホリデーの時もそれをぶつけた。
    大嫌いだと…それのせいなんだな。

    メイドのカリム。巫山戯た格好をしているのに、無表情で何を考えているかわからなくて、
    でも中身は、きっと…

    「笑いたいときには笑え。無理をしなくていい。俺は確かにお前がへらへらしてるのを見るとむかつくが…四六時中そうじゃない。
    お前が俺の料理を食べた時の顔は悪くなかった。」


    積み重なった、皿を見る。

    「一緒に片付けるか。」

    ふぅ…と息をついた。

    「ああ、でも焦らなくていい。落ち着いて俺の指示に従ってくれ。」

    少し驚いたように顔が動く。
    頬を伝う一筋の涙。
    それを指で抜ぐってやった。

    「っ!……はい。…。」

    …表情が変わる。
    そう、いつも以上の…とびっきりの笑顔が現れたのだった。
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    メイドカリムさん編
    (ほぼ、スケベ要素はありません)
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    俺はクルーウェル先生に緊急で呼び出されいた。急いで階段を駆け上がり、扉を開ける。
    そこには俺のよく知る主人がいた。

    「あっ!!悪いジャミル〜なんか、魔法薬のせいで増えちまった…!」

    「………!」

    頭をポリポリとかく俺の主人。カリム・アルアジーム。
    今日も今日とて、俺の主人は問題を起こしたのだった。もはやお前のユニーク魔法は、トラブルメイカーとでも言った方がいいんじゃないか?
    心の中で悪態をつく。

    そして、目の前の地獄のような光景を見て俺は何も言えなくなった。

    「……………!!」

    なんなんだ!これは!どうすればいいんだ!?
    頭の中で自問自答を繰り返した。とにかく事情聴取しなければいけないだろう。

    「あっ!じゃみるだ!いつもよりおとなっぽくみえるぜ!!」

    舌足らずで無邪気に笑う子ども。

    「案外早かったなぁ〜。やっぱりジャミルは偉いぞ。」

    今よりも少しだけ顔や身体が成熟した大人。

    「フン。甘やかしすぎだ。おい!ジャミル、モタモタするな!もっと早く来い!」

    いかにも不機嫌で気難しい暴君。

    「お待ちしておりました。ご主人様。」

    無表情 6495

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