寄るところがあるから先に行ってて、とシュウは言った。今日は駅の近くのファストフード店で、みんなでお喋りする予定だった。
シュウ以外の四人で集まって、くだらないことでゲラゲラ笑っていた。気付かなければよかったのかもしれない。けれど、ちょうどみんなの笑い声が途絶えた時、その声が聞こえてしまった。
「闇ノさん」
聞き覚えのない声が、シュウの名前を呼んだ。
オレたちは足を止めた。目を見合わせて、誰が何を言うでもなく、その声の主を探した。
シュウと声の主は、すぐに見つかった。オレたちがいる一階渡り廊下の窓のすぐ向こうで、シュウたちは向かい合って立っていた。
「ワオ」
「シュウもなかなか隅に置けないな」
「いや~オレはシュウを狙ってる男がいても不思議じゃないと思ってたよ」
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