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    フォドン

    @photonyadon

    天城カイトが好きです。
    女体化あります。
    反応があるととても嬉しい…!

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    POIPOI 12

    フォドン

    ☆quiet follow

    ラキカファイナルのワンドロで書きたかったところまで仕上げました。
    デュエルの途中で終わるので注意。

    全国のハルトファンに申し訳ない気持ちと、MDプレイヤーが憤死してしまうのではないかとヒヤヒヤする気持ちで心がいっぱいです。

    続きはあるかもしれないしないかもしれない。

    決闘!「先攻はお前にやるよ! ハルト」
    「え、いいの? 遊馬」
     ハルトの部屋でデュエルディスクを構えながら二人は会話を続ける。
    「おう! やっぱこれくらいのハンデがねえとな! 先輩としてデュエルってのがどういうもんか、教えてやるぜ!」
    「ふふふ……じゃあお言葉に甘えちゃおうかな」
     ハルトはいたずらっぽい笑みを浮かべながら、デュエルディスクにデッキをセットした。
     
     
     
     ことの発端はいつものやり取りである。
    「なあいーじゃんカイトー! 一戦ぐらいさあー」
    「黙れ帰れ」
    「もう! その辺にしておきなさいよ!」
     カイトにデュエルを挑みにきた遊馬は、今日も案の定冷たくあしらわれていた。しかし今回、事態は思わぬ方向へと進む。呆れる小鳥の後ろから、天城ハルトがひょっこりと顔を出したのである。
    「ねえ遊馬! なら僕とデュエルしようよ!」
    「ええ!? お前デュエルできんの!?」
     ――ということで、ハルトと遊馬によるエキシビションマッチがこの部屋で行われることになった。
     五枚の手札を用意した遊馬は得意気な様子でアドバイスを送る。
    「先攻はドローできないからな! あとモンスターの召喚・セットは一ターンに一回だけ! 表示形式は――」
    「召喚なら表側攻撃表示、セットなら裏側守備表示。レベル五か六のモンスターなら一体をリリース、それ以上なら二体をリリースしなきゃいけない。だよね?」
     ニコリと微笑んで答えるハルトに、遊馬も何とか笑顔を返した。
    「お、おう! よく分かってんじゃねえか!」
     しかしひきつった表情を隠しきれておらず、横から小鳥の野次が飛ぶ。
    「ちょっと前まで自分も分かってなかったくせにー! 偉そうにするなー!」
    「うっ。まあ細けえことは気にすんなって、小鳥!」
     笑って誤魔化そうとする遊馬に、小鳥は何度目かわからないため息をついた。
    「まったくもう、すぐ調子にのるんだから。それにしてもハルトくんすごい……。遊馬があれくらいの頃なんて漢字も読めてなかったのに」
    「まあ小学校卒業程度の学力はあるだろう」
     その淡々とした分析は小鳥の隣から聞こえてきたもので、声の主はもちろんカイトである。ディスクを持って向き合っているのはハルトと遊馬。そしてそれをベットに座る小鳥とその隣で立っているカイトが横から眺めている構図だった。
    (ここで見る余裕があるならデュエルできたんじゃ……?)
     小鳥の訝しげな視線を感じ取ったのか、カイトは少し視線を鋭くして彼女の方を見る。
    「何だ」
    「いや、何でもないです……」
     さすがの小鳥と言えど、カイトにツッコミを入れる勇気はなかったらしい。微妙な空気が二人の間に流れていたが、決闘の準備を整えた遊馬の元気な声がそれを切り裂いていった。
    「始まるようだな」
    「そ、そうね……!」
    (助かった……)と思いつつ、小鳥はカイトの方に目を向け――息をのむ。彼の口元に浮かんでいたのは獲物を捉えた狩人の笑み。
    「ハルトを舐めてかかったこと、懺悔することになるぞ」



    「僕のターン! 僕は、このモンスターを召喚!」
     フィールドに現れたモンスターは、ボードに乗って宙を駆ける二足歩行のロボットだった。サーフィンをしているような姿勢のそのモンスターは、白とグレーのボディのあちこちに小さなパトランプが点滅しており、警察組織の一員のような雰囲気がある。攻撃力と守備力は共に二〇〇〇。
    「更に装備カード、『月鏡の盾』を装備!」
     例のモンスターの手に金色の丸い盾が握られた。半球状によく磨かれた黄金の盾は、正面にいる遊馬の姿を小さく映し出している。装備によって重心が変わったことでモンスターの体が傾いたものの、ロボットの演算力が発揮されたのかすぐに順応してボードを乗りこなしていた。
    「カードを一枚伏せてターンエンドだよ」
    「攻撃力二〇〇〇か。なかなかやるな! だがこっちも負けねぇぜ……オレのターン!」
     遊馬は大振りにカードを引き、手札と合わせて内容を確認する。
    (こっちに攻撃力二〇〇〇を超えるモンスターはいねぇ。ならエクシーズ召喚だ!)
     遊馬は六枚のカードから一枚を選び、声を張り上げる。
    「俺は手札から『ゴブリンドバーグ』を召喚! そしてその効果で手札の……ってあれ?」
     赤色のプロペラ機は確かに出現している。だがその飛行機に吊るされているはずのコンテナがないのだ。これではモンスターの追加召喚ができない。
    「『ゴブリンドバーグ』の効果が発動しねえ!? 何でだ!? ……あっいやハルト、別にルールを分かってないとかじゃなくてだな……」
     先輩風を吹かせていたことを思い出したのか、急に取り繕い出した遊馬に、ハルトは優しく声をかける。
    「大丈夫だよ遊馬。『ゴブリンドバーグ』の効果が発動しないのは遊馬のミスじゃない。僕の『インスペクト・ボーダー』の力さ!」
    「なっ!?」
     ハルトの言葉に合わせ、例のロボットが鮮やかなターンを決める。
    「『インスペクト・ボーダー』が表側表示で存在する間、フィールドのモンスターの種類の数までしかモンスター効果を発動できない!」
    「何だって!? つまり……どういうこと?」
     真剣な顔からのとぼけた声に本人以外がずっこけた。
     ハルトが眉を下げた笑顔で補足する。
    「エクシーズ召喚に成功するまで、君はモンスター効果を使えないってこと」
    「えぇ~!?」
     遊馬はまるでどこかの名画のように両手を頬に当てて叫ぶ。だがまだデュエルは始まったばかりである。手札を再び確認すると、瞳に新たな炎を宿した。
    「それならバトルだ! オレは『ゴブリンドバーグ』で『インスペクト・ボーダー』に攻撃!」
    「ええっ!?」
     突然の遊馬の行動に小鳥が驚きの声をあげる。だがそれも無理はない。『インスペクト・ボーダー』の攻撃力二〇〇〇に対し、『ゴブリンドバーグ』の攻撃力は一四〇〇である。このまま行けば返り討ちになる。心配そうな小鳥をよそに、カイトはまったく表情を変えない。――赤色の瞳はまだ先を見据えている。
    「そして速攻魔法、『虚栄巨影』を発動! バトルフェイズ終了時まで攻撃力が一〇〇〇アップするぜ」
     『ゴブリンドバーグ』の背後に大きな影が現れる。一時的な幻影ではあるが、そこに宿る力は本物だった。
    「これで攻撃力は二四〇〇……! 『インスペクト・ボーダー』の攻撃力を超えたわ!」
     高揚のまま小鳥がベッドから立ち上がる。しかし隣のカイトは至って冷静にデュエルを眺めていた。
    「確かにあれは早々に排除すべきモンスター……判断としては正しい。だが甘いな」
    「え……」
     小鳥の不安げな声とほぼ同時に、ハルトの声が彼らの耳に届く。
    「ダメージ計算時、『月鏡の盾』の効果発動!」
     金色の盾はゴブリンドバーグだけでなく、背後の影すらも球面に映し出していた。そしてその虚像から新たな力が『インスペクト・ボーダー』に流れ込んでいく。
    「『インスペクト・ボーダー』の攻撃力は『ゴブリンドバーグ』の攻撃力に一〇〇を加えた数値になる!」
    「何だって!?」
     遊馬が驚愕の声をあげるが、始まってしまった戦闘は止められない。『ゴブリンドバーグ』の巨大な影と『インスペクト・ボーダー』の持つ盾がぶつかり、フィールドは光に包まれる。視界が晴れたとき、残されていたのは機械仕掛けのサーファーであった。
    「ぐっ……」
     遊馬は一〇〇のダメージを受ける。数値自体はかすり傷だが、あの盾の脅威は遊馬にも伝わっていた。
    「攻撃力・守備力の高い方プラス一〇〇ってことは、絶対戦闘じゃ負けねぇってことか……」
     そう呟きながらも、遊馬にはもっと気がかりなことがあった。
    (こういうカードを使ってくるってことは、そういうデッキだってことだよな……)
     残念ながらこの予感が正しいということが、次のハルトの行動によって証明される。
    「あと君のデッキにはあんまり刺さりそうにないけど……これも使っておくね。永続トラップ、センサー万別!」
     ハルトのフィールドに出現した赤いセンサーが、彼のフィールドのみならず遊馬のフィールドにまで赤外線を張り巡らせる。
     ハルトは心からの笑顔で遊馬に宣言した。
    「これで君は異なる種族のモンスターしか召喚できない!」
     九十九遊馬はもう半人前ではなく「一人」のデュエリストだ。ゆえにどんな強敵を前にしようと、どんなに頼りになる仲間に囲まれていようと、やはり自分の力で勝利を追い求めるものである。しかしこういった絡みつくような戦法はどうしても性に合わない。彼は心の中で叫ばずにはいられなかった。
    (助けてくれよぉアストラル~!!)



     相棒の声が届いたのか届いていないのか、アストラルはそのころ生まれて初めてくしゃみをしていたとか。
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