🕶🐱(前回の続き)あれからどれくらいの時間が経ったか…やっと互いの熱がおさまっま。回数は覚えてないが何とか貞操は守れたので良しとする。
部屋を簡単に片付け自身の風呂の準備をしていると汗やら体液やらで汚れて気持ちが悪いというので先に風呂に行かせた(やり方も教えて)ハシビロさんが出てきた。サイズが合う衣類がないので先に脱がせていた自身の衣類にまた着てもらうことにしたが、ズボンは履いて上半身裸、風呂上がりで濡れておりてる髪…そんな姿のハシビロさんに思わず大きく鼓動が鳴る。
「…俺も今から入るので、落ち着いたら帰って下さい。雀達が心配してますよ」
「…今何時やと思ってんねん。彼奴らはまだ寝てる。それに、帰る訳にはいかん。なんや帰れって。そないに迷惑やったんか?」
「…そういうことじゃ…すみません、ちょっと俺も入ってきますね」
何か言おうとしていたが遮るように風呂へと向かった。どこもかしこもハシビロさんの匂いがして……したばかりなのにまた変な気持ちになる。
「…本当はなってはダメだ」
そう言い聞かせていつもより熱いお湯を浴びる。
風呂からあがるとまだハシビロさんが椅子に座っていた。しかも髪は濡れたままだ。
「まだ帰ってなかったんですか。髪も濡れて、タオルあるんですから拭いて下さい」
持っていたタオルでハシビロさんの髪を拭いていく。
「…さっきの話ですが、別にあなたが嫌いで言った訳じゃないです。というより、俺は単にあんたを助けたかっただけですので」
「…それで自分の体も痴態も晒すんか?」
「…ハシビロさんにとって経験したことない事、俺はそれを教えただけ。それだけです。それはこれからも、分からないことがあれば力になります」
「……お前は卑怯者やな」
「は?」
何を怒っているんだ?サングラスをしてない双眸が怒りに色づいていた。
「お前はそうやっていつも他人から離れていく。避けるようにして逃げているんや」
「俺は逃げてなんか―」
「じゃあお前はなんとも思ってもないまま俺とこんなことしてたんか?」
「っ!」
「俺は他の奴らも見てきたが勿論お前も見てきた。お前が何も言わなくても何度も動きを見れば分かる。俺をどう思うてるか、とかな?」
心臓が跳ね上がった。屋上にずっといて学園を見てきたハシビロさんだ。バレていたんだ、俺がハシビロさんのことどう思っていたのか。
「…それなら、あんたも卑怯者だ。分かっていながら黙っていたんだ」
「当たり前や。俺から言うたら逃げるやろ 」
「違う、俺はただあんたの先のことを…!」
「やかましいわ!」
バンッ!とテーブルを叩いたことで黙ってしまった。俺はあんたをそう思ってるからこそ…
「俺の先のこと?聞いてなかったんか?俺はお前のこと知ってるんやぞ。そんなお前とここまでしてきた俺はどうなるんや」
「っ、それ、は…」
この人は俺の事、ただの話し相手とは思ってない…そういうことか?
「お前は欲を隠しすぎてる。もっと欲を出してええ」
「……俺、は…」
頬にハシビロさんの手が触れてきた。その顔は互いの体を重ねた時と同じ表情だ。
「…俺は…話してて、こんなことして…あんたといる時間もとても…好きなんです…!あんたのことも…ハシビロさん、のこと…も…」
「………黒江?」
今まで隠していたことも明かしたことで張っていた気も緊張も限界に達して、そして慣れないことをしようとしたことで俺は顔を赤くしたまま気を失った。
この日から土日熱を出したようで、見舞いと言ってふくれっ面の雀達が来たのは言う前でもない