⬜🐱と料理研究「材料はこれでいいな。後は……あ、来た」
月に1度バイト先の賄いを頼まれたり、商品の意見を出したり、後は好きな甘いもの作ったり炊事…と諸々の目的の為に料理研究をしている。普段は1人でやっているのだが今回は…
「心夢先輩、今日はありがとうございます」
「こっちこそ」
今回は心夢先輩も参加することになった。料理が趣味だと本人から聞き他の人の意見を聞いてみるのもいいと思ったから。
「それにしても意外です。先輩が料理が趣味だなんて」
「そうか?これでも結構上手い方だぞ」
「それじゃあ色々教えてもらいます」
「黒江だって上手いだろうに」
そういう心夢先輩は俺の頭を撫でた。
今回は寒くなってきたのでグラタンをメインに考え、そこからおかず等を考えることに。台所は民宿の時と変わらず広めに作られているのでそれぞれで作ることに。…それにしても…
「先輩手際いいですね」
「ありがとう」
「確か先輩にはグラタンと合わせるものを…何作ってるんですか?」
「かぼちゃを使ってスープを作ってるんだ」
「かぼちゃですか。冬らしいですね。…それじゃあグラタンにもひと手間かけますね」
「それは楽しみだ…と、卵貰うぞ」
「え?はい。どうぞ」
グラタンはソースから作り肉も料理酒で柔らかくしていく。そして野菜も下準備しそこに…と言うところでちらっと心夢先輩を見た。
コトコトと煮る鍋をかき混ぜ、リズム良く鳴る包丁、卵はどうやらメレンゲにするようだ。
…とここで心夢先輩と目が合い、小皿に鍋から一掬いしたものを渡した。
「味見、してみるか?」
「はい…ん、んん…!美味しいです…!」
「だろ?」
かぼちゃのスープはかぼちゃの甘みと野菜の自然な甘さが溶け合っている…温まるとろとろのかぼちゃスープだ。
「これにちょっとひと手間かけるんだ」
「へぇ……あの、もう一口」
「…はいはい」
そっと小皿を差し出すと心夢先輩が笑いを堪えたような顔でもう一口飲ませてくれた。
1人で作るより誰かと作る時間がこんなに楽しいとは思わなった。お互いの料理も出来上がり食べてみることに。
「お、パイ包のグラタンか」
「はい。保温もありますし変わったものにもしようと思いまして」
スプーンでサク、とパイに穴ができ欠片はとろとろのグラタンの中に…掬えばチーズが伸び口に入れると濃厚なチーズとクリームの味とサクサクのパイの食感が楽しい。
「ん、美味い」
「良かったです。ところでさっきのかぼちゃのスープは…」
「あぁ、そろそろだな」
そう言って席を立った先輩が向かったのは冷蔵庫。開けて取りだしたのはさっき作っていたかぼちゃのスープ。
「冷製かぼちゃスープだ。熱いグラタンに合うと思ってな」
「いただきます」
冷たいスープはあまり食べたことないから珍しい目で一口。よく冷えていて、でもとろみのついたスープの味はちゃんと残ってる。そして気になっていたメレンゲは…
「上に乗せたんですね。見栄えもいいし美味しいです…!」
「それは良かった」
「あの、もし良ければ作り方をもう一度聞いて参考にしてもいいですか?」
「おういいぞ」
「あとおかわりがあれば」
「相当気に入ったな?」
「はい、毎日飲みたい程です」
「それじゃあ毎日飲ませてやるよ。俺もお前の手料理毎日食べたいしな」
「はい…………はい?」
「………………あ」
この後顔を赤くした2人は冷えたかぼちゃスープをおかわりした。