ああ、また失敗した。
足元に這いつくばりながら謝罪の言葉を繰り返す『社員』にメノウは落胆の色を隠さずこれ見よがしにため息をつく。
たったそれだけでびくりと大きく肩を震わせ、どうにか自分に許しを乞おうと縋りついてくる姿はあまりに無様で滑稽で、いっそ哀れみすら感じる。
そして同時に、己はこの光景をあと何度見なければならないのだろうかとうんざりする。
この前の社員は才能がなかった。削除。
その前の社員は頭が悪かった。削除。
そのまた前は忠誠心がなかった。削除。
最初のうちは多少の愛着や同情もあったかもしれないが今となっては思い出せない。
ゲームのリセットボタンを押す感覚だ。
気に食わなかったらやり直せばいい、取り替えてしまえばいい、代替えはいくらでも現れるのだから。
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