高杉晋作の妻は吉田松陰が嫌い 「雅子さんって松蔭先生のことどう思ってるんですか?」
ここのマスターの話が唐突なのはいつものことだが今日もまた唐突だった。
「どう、とは?」
「最近調べてて知ったんですけど高杉さんって松蔭先生に失望されて絶交を言い渡されてるらしいじゃないですか」
「ああ…」
私が晋様の妻になる前の話ではあるけれどそれは事実だ。
「だから普通はあまりよく思ってないんじゃないかと思って…」
それを聞くなんてあまりにもデリカシーがなく、酷な質問だと思いながらもそっとマスター様に顔を近づけた。
「…このことは晋作様には内緒ですよ?」
その言葉にこくこくとマスター様は頷き小さく息を吐く。
「率直に申し上げまして…嫌いです」
「ーー、」
マスター様は何も言えないようで息を呑んだ気配がした。
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