ポッカリ 身長しかり、靴のサイズだって結構大きい方だ――と、思う。左右に立つ者が異様なだけで。
僕は玄関で今日の靴を考えあぐねていた。小雨となると、スニーカーは避けた方がいいだろう。撥水加工のあるローファーにするか、それともいっそレインシューズにするか。
レインシューズは、梅雨に向けて最近購入したばかりのものだった。つやつやと光る黒、爪先の丸み。ショートブーツの形で、歩くとがぽがぽする。指の関節がすこし擦れるような感覚があるが、もう一サイズ小さいのは窮屈だったから仕方ない。
予報では雨は一日降る。ならば、うん、レインシューズで行こう。とっておきをおろすというのはどこかワクワクする。広げた靴たちを靴箱に収め、カバンを持ってドアを開けた。世界が広がったと同時に雨の音が耳に入ってくる。やはり部屋の中というのは世界から遮断されているのだ。
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