汝、凍てつくことなかれ 闇にあってさらに昏い、それは悪性吸血鬼が蔓延る夜のこと。
遠きイギリスより、危険度の高い吸血鬼がシンヨコに襲来したという。懇意にしている現代の退治人は、街中に放たれた黒い影と格闘しながら、巻き込まれた人々や弱い吸血鬼を公民館に誘導してバリケードを張っていた。
家主が居ぬ間の、ただの買い出しのつもりで街を訪れ、その騒動に巻き込まれたクラージィも同じく。
「此処、危ない、逃げろ」
身振り手振りで、クラージィに伝えてくれた赤き退治人。ロナルドに対して、かつては悪魔祓いであった男は自ら助力をかってでた。
「これでも、腕に覚えはあるんだ」
放浪期間中にやせ衰えた、けれど今は筋肉が戻りつつある男は。最近、少しだけ操れるようになった氷の力を、杭の形で顕現させて握り締める。鋭利な武器を生成したクラージィに、ロナルドは「おぉ……、」と目を見張ったのだったが。
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