枯れない朝露、秋の空 ルイス・ミラーが、ジョッキになみなみと注がれた赤黒いジャムを飲んでいる。七賢人のローブ姿のまま、バスタブいっぱいの血のようなワインにくそ長い毛髪を散らばらせて。
ロザリーは喉元に迫り上がるものを必死にこらえた。あれは昨夜私が炊いたベリーのジャムだとでもいうのかしら。糖分を大幅に控えたからあの量を一気に消費しても…いえ、だめよ。そういう問題じゃない。アルコールは控えなさいと言っているでしょう、ルイス・ミラー!帰ってきたら今日こそ禁酒の誓いを立ててもらうわ。
なるほど妊娠中の不安定とはこういうものかと、湧き上がって来るものを必死に飲み下しながらロザリーは納得した。なんとおぞましい夢だろう!この気持ち悪さは如何ともしがたい。
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