あなたと一緒にいると痛みが和らぐアカギは独り歩いている
道端にレンゲソウが咲いていた
アカギはその一輪を摘み取った
鷲巣邸
玄関には毎日豪華な花が飾られている
白服が百合の花を挿す
玄関の隅々まで甘い匂いが漂っていた
「鷲巣」
アカギが玄関にやってきた
白服が追い返そうとする
赤木は知らん顔で中に入る
鷲巣の部屋
鷲巣はとある企業からの依頼に目を通していた
アカギが部屋に入る
鷲巣はアカギを一瞥してまた書類に目を通した
アカギは無言で目の前にレンゲソウを差し出す
鷲巣は思わず顔を上げる
見上げた先には見慣れたアカギの顔
「そこで見つけてきた。お前に。」
書類の上にレンゲソウを置いて部屋を出る
鷲巣は呆気に取られる
レンゲソウを手に取る
何かに気づいた表情を浮かべたあと、少し微笑んだ
白服を呼ぶ
「おい、一輪挿しの小さな花瓶はないか。」
鷲巣は自室の机にレンゲソウを飾った
白服が言う
「レンゲソウですか。珍しいですね。」
鷲巣は言い返す
「レンゲソウは美しい花だ。薬草としても使われていて、見た目だけでなく実際に人を癒す力まである。この上なく立派な花だ。」
「なるほど…。」
白服は不思議に思っていた
いつもは豪華な花ばかりを好んで飾っていたのに
どうして雑草のレンゲソウを飾っていたのか
答えは鷲巣しか知らない
鷲巣は優しくレンゲソウの花びらに触れた