ある日イチが目を覚ますとよく分からん場所にいた。地面っぽいものはあるけど妙に近い。どうやら自分が四つ足で尾ビレを持つ生き物(龍になりかけの龍魚。手足生えたオタマジャクシみたいなもん)になってるらしいことに気付く。

なんじゃこりゃ？と思ってたら猫又に遭遇する。なぜかそれが若だと直感できるイチ。
助けられなかった後悔と罪悪感が蘇り、涙がぶわっと出てきて「あの時間に合わなくてすいません、助けられなくてすいません」と謝罪を繰り返す。猫又は「なんだよもう困ったヤツだな…」みたいな顔をしながら脚にすりすりしてくれる。
猫又が慰めようとしてくれているのを見て、あぁ、もういいんだな、とフッと楽になるイチ。気付くとまた龍魚に戻っている。
そういえばさっきは声も出た。一時的に人間の姿に戻っていたらしい。
なんで？と思ってたら猫又若に捕食スタイルでどっかに運ばれる。

連れて行かれた先には龍の荒がいて、嬉しそうに迎えてくれる。
言葉は聞こえないけどなんとなく「遅かったなイチ。良いことだ、うんうん」みたいなことを言っているのが分かる。泣きながら龍魚の姿でじゃれつくイチ。
一通り再会を喜び合うと、荒がどっかに案内してくれようとするのでついて行く。
人っ子一人いない神室町みたいな場所をトコトコ歩いて、荒川組の事務所だった場所に辿り着く。事務所の中には人間の姿の沢がいて、驚くイチを一瞥した後またつらそうに顔を伏せる。近付こうとするけど「そっとしておいてやろう」みたいな顔の龍荒に促されて事務所を出る。
帰り道、困った顔をしている龍荒が「あれからもう五十年以上経ってるのになぁ」と言っているのが分かった。


ちなみに若が猫又なのは、なんか猫っぽいからってふわっとしたイメージ。あと戸籍変えて二人分の人生歩んだので尻尾が二本に割れた。