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    🧡に理由をつけてキスをしてくる💜の話。

    #Myshu

    キスの理由 あ、されるな。ご機嫌で帰って来たシュウが俺の名前を呼びながらリビングまでやってきた。すると予想通りに首に腕を回されて唇を重ねてくる。ただ触れるだけですぐ離れていく口付け。どうしてキスしたんだ?そう聞くと決まってこう言う。

    「空が綺麗だったから」


     シュウと付き合いだして1年が経とうとする。お互いすんでいる地域が違い、中々会えないのが嫌で付き合って数ヶ月で一緒に住むようになった。シュウの初めての恋人が俺で、何もかもが初めてづくしで最初の方は何をしても顔から火が出るんじゃないかというほど真っ赤で、シュウからキスするなんて夢のまた夢だった。それが数ヶ月前から急にシュウが俺にキスをするようになった。
     あれは夏の暑い日の事だった。仕事で汗だくになりながら帰った俺は、家に入ってクーラーの風が気持ち良くて身体を大きく広げて涼んでいた。ふとベランダの方を見ると、シュウはこの暑い中、何をするでもなくぼーっと空を見上げていた。
    「シュウ、暑くね?外いて大丈夫か?」
     ベランダの窓を開けて顔を出せば、シュウは暑さで少し顔を火照らせて俺の方に振り向いた。汗が顔をつたる姿が情事のシュウを思い出して唾を飲み込んだ。その姿に目を奪われていたら、シュウは気づいたら俺の前まで来ていて、少しだけ段差があるせいでいつもよりも身長差がある俺に背伸びをしてキスをしてきた。初めてされるシュウからのキスに俺は腰を抜かしてその場に倒れ込んだ。
    「は?え...?な、なに??シュウ??」
    「おかえり、ミスタ」
    「ただいま...、だけど!何!?なんでキスしたの!?」
     んー、と斜め上に視線を向けながら考え込んで、再び俺の方に視線が戻ってくれば目を細めて笑みを浮かべた。
    「空が綺麗だったからだよ」

     この日を境にシュウは空を見つめることが多くなった。仕事で2、3日家を空けて帰ってくると必ずと言っていいほどシュウはベランダで空を見上げている。そして俺を視界に入れるとキスをして空が綺麗だったと言う。シュウが幸せそうに笑うから、俺はそれ以上何も言えなくなった。

     冬になり、夏の日のように空が綺麗に見える日が少なくなった。どこかくらい青空が広がって、シュウは寂しそうに空を見上げることが多くなった。そしてシュウからキスされることが少なくなった。俺から顔を近づければシュウ目を瞑ってキスを受け入れてくれる。だけど俺は、シュウからのキスが欲しかった。空を見上げ、帰ってきた俺を見つけては嬉しそうに笑って口付けるシュウが恋しかった。

     雨が降った。唐突な土砂降りに傘を持っていなかった俺はずぶ濡れになって走って家まで帰った。家に着く頃には雨が上がり、夕焼けが綺麗に見えていた。くそっ、もうちょっと待ってれば雨に濡れずに済んだのに。ベチャベチャに濡れて身体に引っ付く服を鬱陶しく思いながら玄関のドアを開け、タオルを持ってきてもらおうと思いシュウの名を呼ぶ。何度呼んでも家にいるはずのシュウからの返事はなく不思議に思う。仕方なく床に水溜りを作りリビングに向かうと、シュウはベランダに立ち雨の上がった空を見上げていた。
    「...シュウ?」
     リビングにきて名前を呼べば流石にシュウの耳にも俺の声が届いたようで、勢いよく後ろを振り向いたシュウがベランダから走って俺の方へと向かってくる。シュウは服が濡れるのもお構いなしに俺に抱きついてきて唇を重ねてきた。触れるだけには変わりはないが、いつもより長く、熱の篭った口付けに冷えていたはずの俺の身体は熱を帯びていく。少しだけ唇に吸い付いて離れていくシュウは恍惚とした表情を浮かべていた。
    「...空が、綺麗なんだよ」
     俺はシュウを壁に押し付けて唇に噛みついた。服の中に手を入れてシュウの身体に触れる。ミスタ濡れてる、風邪ひくよ、僕お風呂入ってない、そんな言葉は全部無視して服を剥ぎ取っていく。全部全部シュウが悪い、そんな表情でキスしてきて、煽るのもいい加減にしてほしい。

     晩御飯も食べずに身体を重ね続け、夜は更けて綺麗な夕焼けはもう見えず、あたりは真っ暗だった。俺の腕の中で荒くなった息を落ち着かせているシュウの頭を撫でながら、ここ数ヶ月の疑問を聞くことにした。
    「シュウ、なんで空が綺麗だと俺にキスするの」
    「ふは、それ今聞くの?」
     タイミングおかしいでしょ、とくすくす笑うシュウに俺は少し不貞腐れる。いいだろ、別に。聞きたい時に聞かせてくれよ。
    「空が綺麗だと、ミスタを思い出すんだよ」
    「俺?なんで?」
    「僕を見てる時のミスタの瞳がね、...すごく綺麗なんだ。それが夏の雲一つない青空だったり、雨が上がった時に見える夕焼けに似てて...」
     すりっと頬を胸に寄せてくる。素肌同士の触れ合いは心臓を高鳴らせ、やっと静まった身体の体温が上がっていく。
    「...あとさ、まだ恥ずかしいんだよ。僕からキスするの。何か理由が欲しくって」
     上目遣いで俺を見つめるシュウの頬は赤く染まり、まるで初めて俺とキスした時を思い出させるような表情だった。背中に回していた腕の力を強め、シュウを抱きしめた。
    「シュウ、キスしていい?」
    「...理由は?」
    「シュウが綺麗だから」
     今、それ以外の理由なんている?俺はシュウに覆いかぶさって唇を奪った。
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