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    @xCfleISRUDCZ6Z0

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    DONE変若の澱の後遺症の影響で体が衰えゆく弦一郎と狼が雨宿りしながら語らう話。

    しんみりと切なくて温かい話を目指しました。
    青梅雨 じとり、と。頬に触れる空気に、纏わりつくような重さをふと覚えた。山稜から吹き付ける風は蒸れ、むせかえるほどの土気と露を含んだ山草の濃い香りを運ぶ。山の脈動と力強い息吹を感じる風の中に入り混じる微かな青梅の香を、熟達の忍びの鋭い嗅覚は機敏に感じ取った。
     空を見上げる。山に分け入った際は僅かな横雲がたなびいていた筈の空は、今や陰雲が無数に立ち込め、空本来の色を完全に覆い隠してしまっていた。時折遠雷の音が雲の切れ間から朧げな響きを伴って、鳴る。

    (もうすぐ雨が降る)

     ここから城へはどれほどか。遠くに目をやるも既に城は遠霞の向こう側に覆い隠され、そこにあるのはただ白いもやばかりである。
     どこか雨を凌げる場所を探すほかあるまい。忍び———狼は判断し、くるりと踵を返した。手に持ち運んでいるものを抱えなおし、雨に濡らさぬよう自身の首に巻かれている色褪せた白橡色(しろつるばみいろ)の襟巻をそっとそれにかぶせる。己は濡れても良いが、今腕に抱えているものだけは決して濡らしてはならない。
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