とある研究員と天才たちへの誹謗「お前も大変だよな、あんないけ好かないやつに振り回されて」
ヘルマンに指摘された論理の矛盾点を必死になって直しているさなか、耳に飛びこんできた声。ここは図書室だ。こっちは頭を悩ませているんだから、世間話なら他所でやってくれ。ぐぬぬと唸っていると、急に誰かが隣に座った。
「おい、聞いてるのか?」
「え、俺か?」
まさか自分に声をかけられているとは思わなかった。弾かれたように顔を上げれば、そこには怪訝そうにこちらを見る男がいた。白衣なのを見る限り彼も研究員なのだろう。
しかしどこかで顔を合わせただろうか? 記憶を辿るがどこかで議論を交わした記憶もない。そうなると別の棟の職員か? まあ図書室だから、いろんな職員が活用するか。
2504