シスターフランジ― 開店の時間が来た。店の大きな扉を開けると大勢のお客様が集まっている。ここ三日間かけてスタッフ総出でビラ配りをした甲斐があったようだ。僕は集まる数多くの視線に愛想のよい笑顔を作った。
「本日は晴天の中、わたくし達の店にいらっしゃいましてありがとうございます」
ありったけの声で深々とお辞儀した。沢山の拍手が耳中に響く。実に心地いい気分だ。鳴り止まない拍手の中、僕は姿勢を正した。
僕はハリファ。儲け話があれば世界の果てでも駆けつける、いわゆる行商人だ。ちなみに金持ちになる気はなく、商売そのものを生き甲斐としている。今はここの国で商売に励んでいるわけだ。
大衆の注目の中、僕はこの日のために仕入れてきた商品を取り出した。
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