「うっわ凄い・・・本当に竜とかって存在するんだ・・お兄ちゃんは見たことあるの?」
「E級の俺が竜と戦えるわけないだろ・・・」
「だよねー」
お互いパリパリと大家から頂いた菓子を食べながらテレビに再度視線を戻す
そこには遠近感がバグったのかと錯覚するほど巨大なドラゴンに
挑むハンターの姿が映っていた。
何年も前の討伐の映像らしい
討伐記念日だったか、ゲートの恐ろしさを再確認させるための番組だったかは忘れたが
過酷な状況の映像が流れる中、隅に映るゲストのワイプ画像がミスマッチすぎて変に気負わずに見れる
ただ気になることが一つだけあった
テレビからはハンターの怒号が聞こえるのだが、その怒号よりさらに大きな声がするのだ
『我らの帝はどこにおられるのか!!!帝よ!!!どこにいらっしゃるのですか!!!!』
「うっわ凄い咆哮・・・」
「・・咆哮?」
「え、すっごいドラゴン吠えてるじゃん」
ほらまた吠えてる、と教えてくれるがテレビから咆哮は聞こえず、代わりに『帝!!』と誰かを探す声しか聞こえない
これ本当にお兄ちゃん聞こえてないの?と困惑している葵に旬も困惑してしまう
「・・・普通に喋ってるぞ、このドラゴン」
「「・・・・・・」」
「お兄ちゃん、一回病院行った方がいいんじゃない・・・?」
最近忙しかったし・・・・とスマホで病院を調べ始めた葵を止めることは出来なかった
だってこんなにもはっきり聞こえるのに・・・俺がおかしいのか?
テレビでは今だにお戻りください帝よ!!という謎の人物?を探す声が聞こえていた
真実を知るのはその数年後
悪魔城の魔王に使える飛龍が魔王を突き落とし一心不乱に飛びついてくるまで
旬は何も知らなかったのである