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    44_mhyk

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    44_mhyk

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    ブラネロ以外のカプはありません。
    ネロに非があり、深く傷ついたボスを西が甘やかす話の愛憎編です。
    しょぼくれたネ君書いたら申し訳ない気持ちになりました。

    ##ブラネロ

    【ブラネロ】心が弱ってるボスを甘やかす西シリーズ②愛憎編「シャイロックー!」
    「ムル」
     営業中にしたばかりの扉の札が勝手に準備中に変えられた気配がして、シャイロックは苦笑とともに顔を上げた。
     営業を始めたばかりで閉店はこまるのですが、と言いかけた彼は、ムルが一人ではないことに気が付き言葉を甘やかな吐息に変える。
     そのまま、ムルに引きずられるように入店した男に艶然と微笑んで見せた。 
    「いらっしゃいませ、ブラッドリー」
     いつになく軽装だ。よく見ると、ジャケットもコートもない。シャツにネクタイという、彼にしてはどこか頼りない……たとえば、鎧を剥がれた兵のように、どこか危うい隙のある恰好で、不服そうな表情ではあるがさして抵抗もせずにムルの成すがままになっている。
    「濁ってたから連れてきた!」
    「あ? 濁ってたってどういう意味だてめえ」
     聞き捨てならねえぞとブラッドリーがムルを睨む。
     ムルがその睨みにひるむはずもなく、彼はぐいぐい、なおも腕を掴んだままシャイロックの待つカウンターを目指しながらそのまんま!と笑った。
    「ブラッドはいつも、透き通ってキラキラ光る宝石みたい!でも今日は濁ってる感じがする」
    「いや答えになってねえよ」
    「いいではありませんか。確かに今宵の貴方は、私でもつけ入ることができそうです。弱って柔らかくなっているところを擽って、甘やかな時間を堪能するのも捨てがたいですが」
     カウンターチェアにもつれ込むようにムルと並んで座ったブラッドリーに、シャイロックは柔らかく頬を緩めてグラスを差し出した。
     夜の色のカクテルの中に、パチパチと小さな花火が輝いている。
    「今宵は心を尽くしてもてなしましょう。どうぞ」
    「……てめえらは本当やりづれえな」
     ふ、と、ブラッドリーが口元を緩めた。
     人恋しさが隠し切れない、どこか甘やかな苦笑だった。
     ああこれは本当に弱っているなと、シャイロックは笑みを崩さずに思案する。
     うかつにそんな隙を外で見せてしまえば、人間も、魔法使いも、男でも女でも、踏み込まずにはいられないだろう。
     普段はグラスを交わして駆け引きめいた戯言を重ねている間も一切踏み込まさぬ男のそれは、あまりにも危険だ。
     見つけたのがムルでよかったのかもしれない。
     ムルが嬉しそうにカードにチェスに、と次々取り出しながら、さあブラッド、とグラスを軽くブラッドリーのそれと重ねた。
     澄んだ高い音をたてて、グラス同士がキスをする。
    「何して遊ぶ? 今のブラッドなら簡単に勝てそう!」
    「あ? 馬鹿言え、負けねえよ」
     ムルのひと言でブラッドリーの声にいつもの調子が戻る。
     それでいい。
     シャイロックは次に出す酒を思案しながらパイプを取り出し、紫煙をくゆらせた。
     強い酒と、戯言と、挑発と、何もかもを一度忘れて没頭できる賭け事と。
     興じて、一時逃げてしまえばいい。
     逃げることを良しとしない貴方だからこそ、こちらが仕掛けてあげましょう。
    「せっかくですから、今日は貸し切りにしましょう」
     かたん、とカウンターを出て扉へと向かいながら、シャイロックは笑って囁いた。
    「《インヴィーベル》」
    「……何した?」
     ブラッドリーがわずかに怪しむようにシャイロックを振り返る。
     ふふ、とパイプを消して、彼はいえ何も、と緩やかに首を振る。
    「邪魔が入らぬように、おまじないですよ」
     


     カタン、と音を立ててわずかに開いた扉にネロは息を詰めた。
    「おや。すいません、せっかく来ていただきましたけど今日は営業しないことにしたのですよ」
    「シャイロック。その」
    「?何か?」
     ネロは言葉をためらって、それからか細い声を絞り出した。
    「ブラッド、来てねえかな」
    「ブラッドリー、ですか?」
     怒らせた。
     傷つけた。
     間違いなくこちらに非があって、話をしたいのに捕まらない。
     部屋にも戻っていなかった。
     だが、ネロが手を離せない時に限って声が聞こえたりするのだ。
     そんな状態が数日、続いている。
     項垂れたネロの顎を手入れの行き届いた指先がつい、と掬う。
     シャイロックの肩越し、カウンターにムルが一人で座っているのが見えた。
    「いいえ、見ていませんね」
    「そうか……。ありがとうな」
     ここだと思ったのに。
     肩を落として踵を返すネロを、シャイロックの声が呼び止める。
    「ネロ。今日はもう、おやすみなさい」
    「はは……そうしようかな。おやすみ、シャイロック」
    「おやすみなさい」
     甘やかな紫煙が映す虚像の向こう側から、その様子をブラッドリーが見つめていた。
     パタン。
     扉が閉まる音と重なり、ブラッドの番!とムルから声がかかる。
    「おう」
     ブラッドリーは手元のカードに視線を落とした。
     
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    44_mhyk

    DOODLEねこさわ無配に絡めた妄想語りです。(フォ学パロブラネロ♀)

    カフェ「サンセット・プレイリー」の常連さんになって、カウンターでブラネロが初めて店に入ってくるところに出くわしたいなというただの語りです。
    カウンターの端っこの定位置でモーニング待ってたら、「ここかぁ、なかなか雰囲気悪くねえな」って言いながら店の扉を推し開いて背の高いやんちゃそうな顔の整ったメンズが入ってきて、そのすぐ後ろにいた灰青色の髪の女の子を先に店内に入れるよね。
    「珈琲もだけど飯がとにかく美味いらしいんだ」ってちょっと男の子みたいな口調の彼女が嬉しそうに言うよね。
     それを見た銀と黒の髪の男の子がおう、楽しみだなと子供みたいな笑顔を見せるのを目の当たりにしてウッって心臓貫かれたい。
     垂れ目の元気ないつもの店員さんが「カウンター席でいいッスか~?」って彼女たちに言って、偶然傍の席になる。
     すぐ隣からどちらの香りともつかないいい香りがふわっと漂う…食事の邪魔にならない程度のさりげない抑え目の香りが。
     それを吸い込みながら珈琲を飲んでああ…今日はいい日や…ってかみしめたい。

    「何食うんだよ」
    「うーん、これとこれで迷ってる…(モーニングメニュー指差しつつ)」
    「んじゃ二つ頼んで分けたらいいだろ」
    「冗談じゃねえ、てめえ半分こじゃなくてどっちも8割食うじゃねえか」
    「半分にするって。足りなきゃ追加すりゃいいだろ。す 675

    しおん

    DONE芸能人パロ①|人気若手芸人のブは、ある日相方のネに突然解散を告げられる。戻ってくることを信じて一人で仕事をこなしていたところ、何故か相方と思しき人物がアイドルグループの新メンバーとして紹介されていて……?

    含:中央主従(芸人)|縁ある二人(芸人)|同じ視点で見ていた(アイドル)
    再再再解散 日頃の猫背が嘘のように姿勢がよく、やけに真面目な面で切り出すものだから、なるほど次はそのネタでいくのかと思った。惜しくも逃したグランプリの優勝を引き摺っていない。次の目標、新人コンテストに向けてすでに思考を切り替えているようだ。
     やや意外に思ったが、嬉しかった。ブラッドリーの相方は何かと引き摺る性質だ。これまでのこいつならあと二日は落ち込んでいる。いい変化だと密かに喜んだ。
     ネタ決めの際、大まかなテーマはブラッドリーが決めるが、細かく設定を詰めていくのは相方の仕事だった。基本的には。だからコンテストで敗退すると、「俺のネタがいまいちだったから」と無駄にへこたれる。馬鹿馬鹿しい。本当にいまいちだったら採用しない。そもそも、こだわりの強い相方が妥協したものを客の前に出すわけがない。ブラッドリーが「いいじゃねえか」と言ったものであっても、僅かでも引っかかるときは延々と唸って作り直すやつなのだ。
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