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    kame_SF

    @kame_SF
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    kame_SF

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    小説というかプロットとでも思ってください…
    ワンドロワンライのお題「SNS」から考えたフロジャン芸能人パロ

    (芸能人パロとTwitterの話)

     事の発端は、あの「人気モデル」サマのふざけたツイートのせいだ。あれのせいで、俺は今テレビ番組のスタジオで司会とカメラに囲まれながら〈若手実力派俳優と人気モデルのスキャンダル⁉〉なんてバカみたいなテーマでトークさせられようとしているのである。しかも生放送。
     ちなみに、「若手実力派俳優」は俺のことだ。「人気モデル」フロック・フォルスターと同じくらいには俺も人気なつもりだから、「若手実力派人気俳優」と訂正してほしい。

     俺を捉えるカメラを見つめながら、このトーク番組に出演することが小さいころの夢だったことを思い出す。いや、違うな。正しくは、人気芸能人になって、人気トーク番組に出演して、司会の美人なタレントとカメラの向こうのお茶の間にちやほやされるのが夢だった。結果から言うと、俺の夢は惜しくも叶わなかった。トーク番組の司会が、美人タレントから、同じ事務所のムカつく野郎に代わってしまったからだ。

     ムカつく野郎、もといエレン・イェーガーは台本をガン見しながら喋る。
    「へえ、お前フロックと付き合ってるのか」
    「馬鹿か、付き合ってねえよ」
    「いや、ここに書いてあるぜ。いつから付き合い始めたのか質問しろって」
     番協席から笑いが飛んだ。
     どうしてこんな、進行下手ですっとぼけたような鈍感野郎が司会に抜擢されたのか。むしろエレンのそういうところが選ばれた理由か? こいつの天然トークはネットでも評判がいい。そして俺がそれに辛辣に突っ込む、といった定番のやり取りも、売れるらしい。今回ゲストに呼ばれた理由の一つもそれだろう。こんなヤツとコンビ扱いなんか気に食わない。気に食わないうえに、テーマが先述のアレである。
     だが、これはチャンスなのだ。映画・ドラマ俳優のエレンに比べて、舞台出演が多い俺はテレビに出る機会が少ないし、一般視聴者の知名度もまだ弱い。貴重なゴールデンのバラエティー出演だ、爪痕くらい残さなければ。

    「せっかく高視聴率番組に出させていただいたんだから、釈明させろ。俺はフロック・フォルスターと付き合ってない」
    「でも証拠があるってよ」
     エレンはカンペを読み上げた。
    「一か月前のフロック・フォルスターのツイートが、こちら」
     ここで画面は、スタジオからフロック・フォルスターのツイート画面に切り変わった。気取った自撮りアイコンのTwitterアカウントは、写真とともに次の文を投稿していた。
    『こいつ今日から俺の彼氏』
     そして写真は、泥酔して締まりのない笑顔を晒す俺の頬にキスをするフロック、といった自撮りである。
     この写真を見るたび、羞恥で顔が燃えて仕方がない。カメラが俺の赤面に注目しているのがわかり、思わず目をそらした。
    「笑い飛ばされるものかと思ってたからさあ、そうやってマジな反応されると、この番組バラエティーじゃなくてワイドショーになっちまうんだけど……冗談じゃなくて本当にスキャンダルだったのか?」
    「だから違うっつうの! この写真嫌いなんだよ。俺、酔っ払って間抜け面じゃねえか。クソ恥ずかしい……」
     頭をかく俺へ、番協の「かわいい~」という歓声が浴びせられた。屈辱すぎる。

     エレンが再び台本をガン見して、話題を振った。
    「オレとジャンとフロックは、みんな同じ事務所なんだよな」
    「わざとらしい棒読みだな。で、同い年で入所も同じくらいだから、立つ舞台が違っても絡みは多いな」
    「まあそうだな。事務所の同級生組とか言って、アルミンたちも入れてみんなで一緒に飲むこともあって……。これはいつの飲み会だ?」
    「飲み会というかフロックの家で二人で宅飲み……別に変なことはしてないからな。健全な宅飲みだ」
    「疑ってないし。へえ、二人で何喋ったんだ?」
    「ええっと……」
     なに喋ったんだっけ? 思い出せない。フロックがあんなツイートをするに至るまでの笑い話の一つや二つありそうだが、記憶が全く飛んでいる。一か月前の宅飲みの夜、俺は本当に酔っていたのだ。翌朝目が覚めて、あのツイートがトレンド入りして話題になっているのを知ったとき、心当たりがなさすぎて放心したものだった。
     沈黙する俺に、エレンが怪訝そうに眉をひそめる。ふと、これが生放送番組であることを思い出し、緊張で首筋に汗が伝った。
    「……ああ、悪い。俺、本当に覚えてねえんだ。あの夜は飲みすぎてさ」
    「そんなことかと思ったよ。お前、すぐ悪酔いするよな。飲み会でも毎回寝落ちして……」
    「こんなところで暴露するんじゃねえ。まあ、フロックの家でも多分寝落ちしたんだな、俺は。起きたらあいつのベッドだったし……」
     番協がどよめき、エレンも俺の顔をまじまじと見る。
    「か、勘違いすんな⁉ ベッド半分借りただけだから! こんなの普通だろ、エレンだってアルミンの家に泊まりまくってるくせに」
    「起きた時、服は着てたか?」
    「なんの質問だよ。そんなの…………着てなかった」
     番協から「きゃ~」なんて黄色い声が聞こえた。
    「オレだってアルミンのベッドに裸で寝ないぜ……。非常事態だな」
    「ちがっ……本当に変なことはしてねえよ!」
     心の中で「多分」と付け足した。あの時下着も履いてなかったことは絶対に言わないことにした。
    「ほら、酔って裸踊りすることくらいだれにでもあるだろ⁉」
    「ねえよ」
     クールなイケメン俳優という俺の看板が崩れていく予感と、ネットに俺の名前がトレンド入りしている直感を同時に得て、複雑な心境だった。
    「くそっ俺はこの番組に弁解しに来たのに! 俺はあいつと寝てないし恋人じゃない!」
    「でも記憶はないんだろ?」
    「……ない」
     自分の正直な性分が嫌になる。
     喋れば喋るほど、ネットでいじられる未来を空目して、妙な興奮に背筋がぞくぞくした。注目されるのは嬉しい。いや、でも、どうせ注目されるならこんな間抜けな話題じゃなくて……。

     なにやら裏でスタッフたちがざわついている。エレンも「何かあったんですか?」とスタッフに声をかけた。こいつは本当に自由だ。スタッフは、答える代わりにカンペに走り書きをした。
    「フロックが新しいツイートしたんだって」
    「は?」
     予感でも直感でも空目でもなく、確信した。ろくなことではない。
     この番組は、生放送という特色を生かして、リアルタイムのネットの反応を番組ハッシュタグから拾うことがある。フロックもそれで紹介されることを狙ったのか、ハッシュタグをつけてなにかツイートしたらしい。
     画面に共有されたフロックのツイートは、次の通りだ。
    『なにも覚えていないジャンへ。これは一人占めするつもりだったんだけど、お前が思い出せるように地上波に流してもらおうか』
     その下には、動画が張り付けられていた。
    「おい、再生するつもりか?」
    「うん。お願いします」
     やめろ、なんて言えるわけがないが、その気持ちを込めて聞くと、鈍感なこいつは素直に頷くだけだった。エレンの合図とともに、動画が再生された。

     場面はフロックの部屋で、撮られている俺の服を見る限り、先のツイートと同じ日であることが窺える。
    『なあジャン、さっきのもう一回言って』
     撮影者であるフロックの手つきが少しおぼつかないのか、画が揺れていた。話し方もいつもよりふわふわしていて、軽く酔っているようだった。
    『んん……? どれ?』
     酔った自分の顔は写真で友人たちに見せられ、からかわれることがあったが、声まで聴いたことはなかった。甘えたような鼻につく声で、我ながら嫌悪を催す。
    『ほら、告白』
    『ああ……へへ。フロック、お前が好きだ』

    「は⁉」
     伊達に舞台俳優で食ってない。思わず腹から声が出た。
    「ジャン、うるせえ」
     エレンが一蹴した。前のめりになって、真面目な顔で動画を視聴している。そんな一生懸命に見るものじゃないからやめてほしい。

    『俺も好き~。付き合うか』
    『わはは、いいな』
     フロックの浮かれきった声に俺がけらけら笑ったところで、動画は終了した。

     賑やかな番協席に対し、スタジオの俺ら二人は神妙な空気の中沈黙していた。
    「……で、このあとジャンは、ベッドで裸の状態で目が覚めると」
    「イヤなこと思い出させるんじゃねえ……」
    「あ、フロックが追伸ツイート。『撮った時にジャンからネット投稿の許可をもらったから肖像権とやらの心配はするな』って……ぬかりねえな」
    「……あいつのそういうとこ嫌いだ」
     あとから聞いた話だが、フロックのツイートによる相乗効果で、番組はこの瞬間、上半期の最高視聴率を更新したらしい。

    「ジャンが『なにも覚えていない』からって、フロックが動画を投稿したんだよ。思い出せたか?」
    「……ちょっとだけな」
     実は、動画内のフロックの甘い声色が耳元をくすぐると同時に、あの日の記憶が少しずつ鮮明になっていったのだ。
    「でもな、真相は視聴者が望むような面白いもんじゃなかったぞ」
     安堵を心の奥に隠しつつ、カメラににやりと笑って見せた。
    「俺があいつにした告白はなぁ、俺の知ってるモデルの中でフロックが一番好きって言っただけだったんだよ」
    「へえ……」
    「顔が好きとか、声がいいとか、お世辞なしで褒めてやったらあいつずいぶん喜んでたな」
    「へえ……」
    「で、今年の『彼氏にしたい芸能人ランキング』に俺がランクインしてたけど、俺だったらフロックを彼氏にしたいとか、そんなことも話して」
    「へえ……」
    「そしたらフロックの方も、俺のこと彼氏にしたいとか、愛してるとか言ってきてさ」
    「へえ……」
    「そこから付き合うとか変な冗談が生まれて——おいエレン、なんださっきからそのウザい返事は」
    「別に……。ジャン、自分が結構恥ずかしいことを言ってるって自覚ないみたいだから、教えてやろうか迷ってただけ」
    「は? …………」
     俺はここで、いままでぺらぺら喋ったことをよく思い返してみた。
     カメラが俺の赤面に注目しているのがわかり、思わず目をそらした。
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    kame_SF

    PROGRESSジャンくんは6人組大人気アイドルグループの1人、フロックくんは同じ事務所の大人数アイドルグループの1人で最近ソロ活動に力を入れ始めて知名度上がってきたところ。ジャンくんも歌手・ダンサーとして足を固めようとしている段階で、この度記念すべき初のソロコンサートを開催…という設定。
    そのソロコンのお誕生日に開催された公演に来たオタクが書いたレポ、という設定……
    💞4/7 ジャンくんソロコン/〇〇アリーナ/お誕生日公演レポ/スタンド2列目💞幻覚のレポです

    セトリも衣装も今までの公演と変わらずで、曲の間にも特に誕生日の話はなし。あの子自分から言い出せないタイプなのかも…ってこっちがソワソワしてた。で、事件はMC入る前のメドレーで起こるんですけども!!

    初期曲メドレー中、めっちゃスタンド席にファンサ振り撒いてたジャンくん! 多分誰かの「バーンして」うちわを見てバーンしてたんだけど、その後他のいろんな方向に(たぶん無作為に)撃ちまくってて、機関銃かな?っていう連射を浴びた…昇天した…楽しそうな悪戯っ子の顔してて19歳愛おしい。
    かと思ったら、上方スタジオ際のアリーナ席の方ジーッと見てて、どうしたのかと思ったら急にそっちにも特大バーンをしてて。アリーナ側からは当然歓声上がったんだけど、その直後もっと大きな悲鳴になったよ…スクリーンに観客席のフロックくんが映ってたから…。
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