恋と運命とサスペクト 彼氏が浮気したらしいことが、朝一番親友に見せられて発覚する。
「えぇぇ、これディープフェイクとかじゃないよね!?」
「だれがそんな手間かけるのよ。友達がたまたま帰りに見たの。そいつ、口が軽くて大変だったんだから」
そういって開いた口が塞がらない私に突き出されたのは、手を繋いで仲睦まじく歩く二人の接写。そこに映る人物に私は殴られたような衝撃を覚える。思わず親友の手を握れば、彼女は口を尖らせた。
「ほら、あんたの仕事って信用商売でしょ? 放っておけなくて」
「ごめんね、頼りない探偵でぇぇ……!」
「しッ、バカ、声が大きい!」
感極まって抱きつこうとした彼女にぴしゃりと怒られて、私は口ごもる。
そう、何を隠そう、私は探偵だった。とはいえまだ駆け出しで、きっかけも些細なものだ。偶然巻き込まれた事件で偶々謎が解けてしまったせい。
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