宵に舞う蝶の秘密 そろそろか、とグラスを置き視線を動かしたローに、ルフィもスプーンを動かしていた手を止めた。
上陸するときは目を開けていられないくらい眩しかった太陽も、この島で一番うまい食事を出すと連れてこられた宿の一階にあるレストランで飲み食いしている間に、水平線へとその緋色の体を沈めようとしていた。
ただ、ローがそろそろだといったのは、何も活動しやすい時間になったという理由だけではない。風を取り入れるために開け放たれた窓の下に視線を向ければ、色合いを変えた街のなかを歩く人々が同じ方角に歩いているのが見える。目深にかぶった濃紺のローブも、手に掲げた小さなランタンも同じものだ。
行くか、とたちあがったローの手にも、小島に入る際に火を入れると説明されたそれがある。もう一方の手を差し出されたルフィは、これから始まるという祭りに胸を躍らせながら、麦わら帽子の上からローブをかぶせ、その手を取った。
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