「また今度」 ______
「別れて」
唐突に告げられた。
【また今度】
「どうしてもか…?」
「ずっと言おうと思ってた」
「……すこし、考えさせてくれ」
告白を受け入れたのは、
気まぐれだ。
久しぶりの会瀬。
手が触れる。小指を絡める。
キスをしかけて→今度ね
じゃあハグ→今度ね
「お、俺、
なんか嫌がられる事したか!?」
「そういう気分じゃない時くらいあるでしょ」
「つってもこの前からずっとだろ…
シンク、何かあったのか…?」
(「お互いの動向は探らない決まりのはずだけど?」
「じゃあ…他に理由があるのか…?」)
「…別に。ただ深入りしすぎるのも厄介だと思っただけだよ」
理由が、
大事になりすぎるのが怖いから。
なにかに肩入れすることは、弱みだ。
「困ることでもあるのか?
俺、ずっと好きで居ると思うんだけど…」
(≫≫ちょっとズレてる≪≪)
「俺、一時期だけど…死ぬかも知れないって言われてただろ?
だからこの先、もし仮にどちらかが居なくなる事があったとしても、精一杯生きたいって思ったんだ。
大事な人…おまえと過ごせる時間も、精一杯大事にしたい。
一日、一日を、後悔しないように」
『後悔しないように』
本来、こうして特定の一人にかまけている時間は無駄でしかないはずなのに。
いま一緒に居られる時間が居心地よくて、失いたくなくてたまらない。
告白を受け入れたのは、
気まぐれだ。
気の迷いだ。
あの日、断ってもよかったのだ。
(鬱陶しくも眩しく思う相手。
正直、まともに向き合うと枷にしかならないと思った。
だから利用してやろうと思っていた。
なのに今残っているのはただ一緒に居られる嬉しさだった。
他でもないルークとそうなれた事が嬉しかった。
ルークの前なら、
ただの自分で居られる。)
「難しいことはわかんないけどさ。
シンクが居てくれるからホッとできる時間があるし、いろんな事、頑張れてるよ。
大事なひとがいるって、弱くなるだけじゃないんじゃないかなって、
俺は思うよ」
「ボクを好きになったことは後悔しないの?」
「ありえねーっつーの!
俺、嬉しいんだ。シンクとこんな話ができるくらい仲良くなれたことも、一緒に過ごす時間をくれることも。
シンクもそうだといいなって思うけど、無理して欲しいわけじゃない」
______
回想。
『じゃあ、付き合ってみる?』
『!!!!』
告白を受け入れた時のルの嬉しそうな顔。
______
「無理してないから……。
もうそれでいいよ。」
肩に頭をすりすりする。
「…シンクとこうして同じ時間を過ごせるの、やっぱすごく幸せだ」
髪に触れる。
「面倒な相手を好きになったもんだね。ボクがアンタなら絶対お断りだ」
「はは、それはお互い様かもな」
心地良さそうになでられてるシ。
「ルーク、」
…いっぱい触れて良いよ。
今度から。
「今度からかよ!」
「今回って意味もあるんだけど」
仰向けに寝て両手を拡げるシ。
「アンタが言ったんだ。
精一杯、愛し愛されてやるよ」
「!!!」
覆い被さってぎゅーって抱きつくル。
幸せそうに眼を閉じるシ。
『あ~~バカがうつる。』
Fin.