Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    nekomata002

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 44

    nekomata002

    ☆quiet follow

    リク②
    保護者髙🪶と大人組み合わせ🐙

    「は?保護者観察ぅ〜?」

    「はい。髙羽史彦が保護しているのは
    宿儺の元器、半呪霊、どちらも人間ではありません。彼の功績は我々も理解しておりますが…万が一のことを考えて日下部さんには定期観察の業務、並びに報告書を提出して頂きたいのです」

    人形のように表情を変えずに話すのは生き残った呪術界の爺さん共が送り込んだ呪術師だった。最強の男を失った代償はデカイ、今やこの都会には渋谷、虐殺された軍人共、死滅回游参加者の強い後悔恨みが蓄積されて街中に特級クラスの呪霊が溢れかえっている。
    昨日も真希と一緒に特級を3体ほど退治したが、今日も各地に散らばった窓からの呪霊報告が絶えない。忙しいに忙しいを上塗りしたような状況なのに、クソ面倒なことをお願いされたものだと長いため息しか出ない。
    …言い方も気にいらねぇ、虎杖は化け物じゃねぇよ、虎杖の自称兄貴も今では高専の大切な仲間、頼り甲斐のある呪術師だ。

    「日下部」

    会議室から出るとそこにはスーツ姿の元弁護士の日車がいた。

    「お前もう動いて大丈夫なのか?」

    「あぁ、さっきも新宿で特級相手に腕慣らしをしてきたところだ」

    「はぁ…ったくなんでこう天才ってのは
    お前なぁサラッと凄いこと言うなよ」

    「?」

    俺、特級相手に毎回死にかけてるんですけど?五条といい、天才ってのはみんなこうなのか?僕、何かやっちゃいましたか〜?系はもういいわ!

    「それより日下部、虎杖のところに行くのか?」

    「あ?聞いたのか?」

    「いや、偶然通りかかった時に聞こえたんだ」

    「虎杖、いや、正しくは髙羽のところだな
    金出して貰ってるし、逆らっても俺らにメリットは一つもないからなぁ様子見する程度に行くつもりだよ。丁度今ヒマだし」

    「虎杖が保護者候補から選んだと聞いてる
    …公然わいせつ罪のような男が虎杖の世話をしているなんて、正直言って信じられない」

    「弁護士さんなかなか言うねぇ…
    俺はあまり心配してねぇよ。
    髙羽と生活するようになってからアイツよく笑うようになったし、自称兄貴の奴も髙羽の言うことだけは素直に聞いてるって虎杖が言ってたぜ?」

    宿儺との戦いが終わってから虎杖は抜け殻のように正気がなかった。
    当たり前だ、アイツはあの年齢にして色々なものを失い過ぎた…両親が呪霊に殺されたり、過去のトラウマとかで呪術師にならざる得ない人間は沢山いるが虎杖は…宿儺の器になったアイツは異例過ぎる。
    俺たちは術式も持たない齢15歳のガキに希望を託し過ぎた、アイツの善意に甘えた代償が宿儺の復活と最強呪術師の死だ…
    保護者の立候補者リストを渡した時の虎杖は何に対しても無気力で放って置いたら自殺しちまうんじゃないかってくらい目が死んでいた。違和感しか感じなかった、俺が抱いた虎杖の最初の印象は明るい生徒だった。
    髙羽に引き取られてからのアイツは太陽みたいに明るくなっていた。太陽なんて俺にしてはかなり比喩した言い方になってしまったが、それがきっと本来の虎杖の姿なんだよ

    「俺は自分の目で見たものしか信じない
    頼む日下部、俺も同行させて貰えないか?」

    「弁護士さんもブレないねぇ
    わかった連れて行ってやるよ。
    ただし、帰りに美味い店奢れよ?」


    ◾️


    髙羽たちが暮らす家は高専に近い場所にある
    見るからに金の無い(実際に保護者立候補の時に本人が金ねぇけど立候補していいかな?と言っていた。)
    髙羽がこんなオートロックのマンションに引っ越せたことには驚いたが、後々髙羽から詳しく話を聞くと支援金は冥冥から貰ったものらしい。あの金のことしか考えてない女が芸人に億渡すとか信じられなくて、詐欺じゃねぇよな?後で金返せとか言われない⁇
    髙羽があまりにも警戒心なく金を使おうとするから心配になった俺が冥冥本人に確認を取ったら予想外の答えが返ってきた

    「羂索の強さは実際に対面したものでなければ分からない…金は好きに使いなさい、返さなくていいから」

    正直言って俺は冥冥の答えに驚いた
    そして、それと同時に髙羽の認識を改めた
    髙羽の呪術を実際に見たわけじゃないが…恐らく俺は髙羽に勝てない。羂索と互角に戦うということ自体に髙羽の強さのレベルが明確に現れている。それにプラス冥冥からの金だ、これ以上に髙羽が実力のある呪術師であることの証明はない。
    登録されている住所と部屋番号を確認してインターホンを押した。今日は虎杖も脹相も早朝青森に出張任務中だから家にいるのは髙羽だけだ。

    「はいはーい!今開けまーす、ってえ?
    日下部さんに弁護士さん⁇どしたの?」

    「……お前誰だ?」

    扉を開けたのは知らない男だった。
    眉毛にかかる細い前髪にまん丸の目をした幼い顔立ちをした男が俺たちの前にいた。
    髙羽はオールバックに眉毛がキリッとしたもみあげ男、目の前の男にも髙羽と同じもみあげがあるが、雰囲気が違う。
    後ろにいる日車がいつでも攻撃できる構えの体制に入った。俺も男との距離を取る。
    俺たちの反応に気づいた男は目を数回パチパチさせると「あぁ、そうか!」と言って両手でグイッ前髪を後ろに撫でつけニカッと笑った

    「は?はぁあ?!お前っ、髙羽か?」

    「!?」

    「えっと、うん。髙羽史彦35歳です!」

    前髪下ろすと別人過ぎねぇか?
    全然髙羽だと気づかなかった。
    日車も同じようで驚いた顔で髙羽を凝視している。

    「オフの日は大体この髪型なんだけどぉ
    …えっと、とりあえず2人とも中入らない?
    俺、ご飯作ってる途中なのよ」

    「あ、あぁ、そうだな。邪魔させて貰う
    ほら、日車も行くぞ」

    「…あぁ」





    「……お前、店でも開くつもりか?」

    室内に入ってまず一番に目に飛び込んでいたのは3つの銀ボウルにタプタプに入った液体だった。
    なんだこの液体、お好み焼き?いや、それにしてはサラサラし過ぎだし

    「たこ焼きか」

    日車が呟くように言った言葉に俺もようやくテーブルの下に置かれているたこ焼き機の存在に気づいた。

    「!あぁ、たこ焼きか。
    よく見たらたこ焼き機もあるな」

    「2人とも正解‼︎今日の我が家のご飯はたこ焼きです!」

    「それにしては多くねぇか?
    店開くレベルの量じゃねぇか」

    「いやいや、ウチの子の食欲舐めたらダメだぜ?これくらい余裕で食うし、これくらい作らないと間に合わないんだよ」

    そう言いながら髙羽はたこ焼き機を箱から取り出して電源のスイッチを押した。

    「虎杖はわかるとして、兄貴の方は飯を食ってるイメージがねぇな」

    「え!?脹相くんめちゃくちゃ食うよ?
    トラくん以上に食べるよあの子」

    「あの子って…」

    おいおい、あの兄ちゃん成人迎えてるいい大人だぜ?ウチの子とかあの子とか、甘やかし過ぎじゃねぇか?

    「なんか俺に話あってきたんだろ?
    さっきトラくんたちから任務終わったってメール来たからさぁ、今から焼かないと間に合わないんだよねぇ、焼きながら聞いてもいい?」

    「お前マイペースだな…まぁ、いいよ
    飯時に邪魔してんのはこっちだしな」

    ジュゥウっと室内に煙が上がる
    たこ焼きかぁ、たま〜に食いたくなる時あるんだよなぁ…とか考えながら焼いてるの見てたら日車が髙羽に近づいて「この液体からあの丸いたこ焼きが出来るのか?」とか聞いてるし、髙羽が「弁護士さんもたこ焼き焼いてみる?そんな難しくないよ?」と言って竹串渡してるし「…やる」と答えてる日車にオイオイ!俺たちはたこ焼き食いに来たんじゃねぇって言おうとした言葉がぐぅぅう〜っという腹の鳴る音でかき消された

    「……」

    「日下部さんもたこ焼き焼くか?」

    「………焼く」


    あれ?俺たち何しに来たんだっけ?




    「こうやって、こうして、集めて…回す!
    くっそ失敗した!」

    「わははっ、日下部さん俺より下手!」

    「焼き終わったら皿に移せばいいのか?」

    「でぇええ!?弁護士さんの形すっごい綺麗!お店に出せるレベルの丸さじゃん‼︎」

    「髙羽に説明された通りにやっただけだが?」

    「弁護士さんって器用なんだなぁ、羨ましい〜!あ、できた奴は弁護士さん食べていいからな!
    そこにマヨネーズとたこ焼きソースあるから好きにかけて食べてなよ」

    「…日車、俺もお前の綺麗なたこ焼きが食いてぇ」

    「仕方ないな、俺は新しいのを焼く
    お前はこの出来たやつを食べててくれ」

    「おー、ありがとなぁ。…美味っ!たこ焼きなんて久しぶりに食べたわ、うめー」

    「たこ焼きってさぁ、無性に食べたくなる時ってあるじゃん?でも市販のたこ焼きって高いからさぁ、昔からよく作ってたんだよ。
    そしたらトラくんたちに意外と好評でさ
    我が家では定番メニューとなりつつあるんだよ」

    「…ちゃんと家族やってんだな」

    「へへ、俺、2人のおかげで毎日楽しいよ」

    「…」

    それはきっと虎杖たちも同じ気持ちだよ。
    たこ焼きを食べる俺たちの隣で髙羽はずっと虎杖たちの分のたこ焼きを量産していた
    ちょっとくらい食べりゃいいのに、たまに俺たちの皿にもポイって投げ込んでくる
    たこ焼きでいい感じに腹一杯になった時だった、ガチャっと煩い音を立てて虎杖たちが帰ってきた。

    「髙羽さんただいま〜って、え?
    日下部先生に日車?どしたん?」

    「…」

    「おー、邪魔してるぜ」

    「虎杖も任務お疲れ様」

    「あ、うん…日車はもう動いて大丈夫なん?」

    「あぁ、昨日も呪霊討伐任務に行っていた」

    「そっか、よかった!」

    「トラくん脹相くんおかえり〜
    たこ焼き出来てるぜ?」

    「やったー!たこ焼き!俺焼きたい!」

    「悠仁、まずは手洗いうがいだ」

    「あ、ヤベっ忘れるとこだった!」

    たこ焼きを食いながら俺はドタバタと洗面所に消えていく2人の背を見送る。
    …アイツらついさっきまで特級相手にしてたんだよな?
    なんだあの無邪気な姿は子供か?

    「……そうか、アイツはまだ子供だったな」

    「…日下部。お前の言っていたことは正しかったみたいだな」

    口の端に青のりつけながら日車が静かに俺だけに聞こえるような声で言った

    「俺は虎杖のあんな楽しそうな笑顔を初めて見た…きっと俺が側にいても引き出せない笑顔だ…」


    「…そうだな」


    幸せそうでなによりじゃねぇか…

      




    報告書

    虎杖、脹相ともに異常なし
    3人の関係は良好でした

    たこ焼きが美味しかったです
    自分の受け持つ生徒たちと今度作ろうと思いました。

    日下部



    「作文かよッッッ!!!!」

    会議室には報告書の紙を叩きつける音が虚しく響いた。


    おわり
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💗💗☺☺☺☺☺🐙🐙🐙🐙🐙🐙🙏🙏🙏🙏🙏☺🙏😭😭💴💴🙏🙏💞💖☺☺☺☺☺🙏🙏🙏🙏🙏☺🙏🐙☺☺🐙🙏💞🙏🙏🙏🙏☺☺☺☺☺☺☺🙏💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator