生まれた時からずっと二人「あ」
身体がふわりと浮いた感覚に、思わず声が出る。遅れて「まずい」と思うが、すでに手遅れだ。
烈風刀の体は、重力に従ってゆっくり後ろ向きに落ちていく。やってくるであろう衝撃に備えて、せめてもの抵抗として頭から背中を丸めようとしたその時――
「おっ、と。大丈夫か?」
痛みに変わって何かが烈風刀を受け止める。背中に添えられた温度は、雷刀のしなやかな腕だった。影の落ちたまるい瞳が、こちらを覗き込む。その火を移されたみたいに、ぽっと頬が熱を持つ。
その火を振り払うように頭を振って、俯いたまま姿勢を立て直した。
「すいません、ありがとうございます」
遅れてどくどくと音を立て始めた心臓を押さえつけて小さな礼をする。前髪を整える指の隙間から雷刀の顔を伺うと、なぜかその頬が膨れていた。
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