交換条件「いいだろう。ただし条件がある」
「条件?」
「まさか君はこの高度な技術をタダでもらい受けようなんて思ってはいないだろう?」
「それに関しては先ほど謝礼の話を」
「俺が欲しいのは、金で買えないもの──」
開闢門が振り返る。大きく発光するモニターを背に、表情は見えない。
「君自身だ」
「どういう……意味かな」
「そのままだよ。大学時代のあの日のことを忘れたとは言わせない」
寂雷の脳にかつての記憶が蘇る。開闢門から告白されたあの日、確かに自分は首を縦には振らなかった。自分の隣にはいつも獄がいた。時を経て今も──。しかしそれとこれとは話が別だ。
「だが私は……!」
「生憎金は困ってないんだ。断るならそれもいいだろう。だがこの技術は、世界中探せどそう簡単には見つからない。君も本当は分かっているのだろう?」
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