30年後ロド新刊冒頭「アーッ、酷い目に合った!」
お土産を山ほど抱えて来襲した父を見送っていたドラルクが、ぐしゃぐしゃになった髪を手櫛で整えながら苦虫を噛み潰したような顔でリビングへと戻って来た。整えきれていない前髪が落ち、長い髪を結わえているリボンが緩んでいる。ずいぶん撫でられたらしい。
ロナルドはソファの背に腕を掛け、ダイニングテーブルへと座るドラルクを見た。
「珍しいな、親父さん。ハグはいつもだけど、そんなにぐしゃぐしゃ撫でねえだろ」
「前回来たときお父様がくださった整髪料、香りが好きだったから使ってたんだよ。そしたら使ってくれてるんだね! ってさ」
「整髪料とか香水とかは結構使ってるだろ。値段が値段だしもったいねえっつって」
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