夏休みは海に行こう ①遊真・修
二人とも高校生
遊真は生身設定
ボーダーで一緒のチーム
高校も一緒のクラス
二人とも特に彼女とかいない
その①
修の部屋でテスト勉強中、遊真が
「期末テストで赤点なかったら、二人で海に行かないか?」
「初めっからからできない約束はしない方がいいぞ、空閑」
「いややる。今回は是非とも約束を守りたい」
「大変素晴らしい意気込みだが、聞いてもいいか?」
「どうぞオサム」
「何をしに行くんだ?泳ぎに行きたいなら、ボーダーに訓練用のプールがあるし、そっちの方が近いし安全だろう」
「オサム…お前なぁ…」
一応真面目に問題集を見ていた(解いていた訳ではない)遊真が顔を上げ、呆れた様に修に言った。
「夏と言ったら海、海と言ったら水着!」
「誰の?遊真の水着か?際どいやつ?需要あるんじゃない?」
「なんかその言い方テキトーじゃね?…おれじゃないよ」
「ぼくは自信がないぞ」
「………ゴクリ」
「なんのリアクションだ?それ…まさかお前、ぼくをそんな目で…」
目の前で両手を合わせ、拝む仕草で修に向かって、
「大変良いモノをお持ちで…」
「イヤーケダモノー」
「めっちゃ棒読みじゃん、違うって」
「……え〜」
「なんでちょっと残念そうなんだよ…水着と言ったら女の子じゃん!オサム、海に二人でナンパしに行こうぜ!」
「却下」
「素早い判断だなぁオサム!そこに痺れる!憧れるぅぅ〜!!」
「空閑がニッポンの文化に染まりつつあってぼくはとても嬉しいよ」
「そこはケンソンしようよオサムぅ…」
「けんそ…漢字で書いてみろ」
「…オサムは書けるのか?」
「書ける書ける」
「ん?なんか今うそ…」
「さっさと手を動かせ空閑。テスト初日から現代文だぞ」
「うぃ〜っス」
「…海に行く件だか…」
「おっその気になったか?」
「ぼくは水着持ってないぞ」
「そうか?…まぁおれもだが…じゃ、一緒に買いに行こうぜ」
「普通そういうのはカップルで行くんだよな…」
「なんだ?おれとじゃ不満か?」
「………」
「えっ、オサムさん?嬉しそうに目を伏せて首振るのやめてくれる?なんかリアルだわぁ…」
「お前が振ったんだろ…さ、いい加減べ」
「よーすけ先輩がさ、『日本男子は学生時代に一度は海でナンパしないといけないキマリがある』って言ってたんだ」
「米屋先輩の嘘には気付かないのか?」
「だから行こうぜ〜楽しみだなぁ」
「じゃあ赤点回避だ。頑張ろう、空閑」
「うい〜っス」
「言ってる側からスマホいじるのやめてくれないか、空閑」
「おれ、どんな水着が似合うかな…」
「日本男子は褌だな。サメ避けにも効果がある(らしい)」
「へえ〜何それ、ふんどし?ふ……」
「カッコイイゾー」
「オサムもな…棒読みヤメロ!」
「悪い…あ、思い出した」
「なにナニいきなり…急に大声出して」
急に遊真のノートを奪うと、修はさらさらと端の方に漢字を書き出した。
『謙遜』
「…やっと思い出したよ…あ〜スッキリ」
メガネの位置をきゅっと直して得意げにそう言う修。
「…ヨカッタナ、オサム」
「ああ!さ、勉強しよう」
「…うい〜っス」
もちろん遊真は赤点でした〜